内省法「内観」
「ひかりの輪」で、内観の世界的権威の方にご指導いただきながら実践している内省法「内観」についてのコーナーです

実践レポート・体験

内観(内省法)の参加者の感想(~2016年10月)

 「ひかりの輪」では、自己反省法・内観を、大学教授の内観専門家の先生にご指導いただき、取りいれています。 定期的に、「1日内観」を中心とした内観セミナーを行っており、一般の方のご参加も受け付けています。

 今回は、2016年10月までに行われた「一日内観」の参加者の方の感想文の一部を、以下にご紹介します。

 感想を見ると、集中して行う自己反省法・内観は、たった一日でも、大きな効果を感じられる方がたくさんいらしゃることがわかります。

 内観とは、浄土真宗の一派に伝わる「身調べ」という修行法から派生し、その後、宗教的な要素を取り除いて、誰もができる自己反省法として確立されたものです。学校教育や矯正教育、企業研修にも取り入れられ、学会もあって、海外にも広がっています。

 その方法は、いたって簡単で、内観専門家の指導のもと、自分がこれまでの生涯で、両親・親族・友人知人などの周辺の方々から、

①していただいたこと
②して差し上げたこと
③ご迷惑をかけたこと

を1つ1つ思い出していくという作業を、一定の手順を踏みながら、丸1日~1週間ほど集中して行なうというものです。

 なお、親がいない人は、親代わりに育ててくれた人を親と見て行っていきます。

 この貴重な内観の実践の機会をいかしていただきたく、皆さまのご参加をお待ちします。今後のスケジュールはこちらをご覧ください。

 以下、参加者の皆さまの感想文の一部をご紹介します。


●IKさん 50代 東日本

 初めて参加させていただき、緊張しました。でも、丁寧な説明をいただき、内観を体験でき、たいへん勉強になりました。
 3つの質問(①していただいたこと、②して差し上げたこと、③ご迷惑をおかけしたこと)に対して、「具体的に」「事実のみ」をお答えしていく作業は初めてのことで、色々と考えたり迷ったりでした。
 でも、今回は母についての自分をよく考え、母の自分に対する思い(愛情や様々)について気づくことができました。
 「客観的に自分を見る」ことは、自分にとって大切だと思いました。日常のことも気づけるようになれたらと思います。
 遠方までご足労いただいた先生、ご指導員様に感謝申し上げます。

●GYさん 40代 東日本

 今回は母に対しての自分の内観を行いました。
 今までにも何度か自分なりに試みたのですが、全くと言っていいほどに成果が上がらずでしたので、今回も母に対して特に「していただいたこと」などあるはずがないし、思い出すなんて不可能だと思っていました。
 けれど先生のお話を聴いて、心を落ち着けて、ゆっくりと母のことを考えてみたら、少ないながらも、いろいろなことを思い出しました。
 母から嫌われていたとずっと思っていましたが、こんなにもたくさんのことをしてもらっていたんだと思えた時には、涙が出ていました。
 今日の内観は、中学生(の時の自分に対する内観)で終わってしまいましたが、この後の年代については以前と違ってきちんと向き合っていけると思います。
 まだまだ父や兄に対しての内観には届きませんが、焦らずにじっくりと思い出していきたいです。そして、その時には、大嫌いだった家族が大好きに変わっているように思います。
 短時間でしたがとても素晴らしい体験ができました。ありがとうございました。

●TMさん 60代 西日本

 小さい3歳頃のわがままな私を、片道4Km以上の砂利道を、背負ったり歩かせたりして、医者に通院させてくれた母親のありがたさに気づきました。
 医者嫌いの私を先生の前に座らせるのも大変だったと思います。その苦労を忘れて「あなたは良い子だね!」と言ってくれた母に、良い子にならなきゃと思いました。もし悪い子だねと言われていたら、私はふてくされていたかもしれません。
 母親は、病気であっても苦しみを人に見せず、いつも優しい人でした。母親の愛は形には見えないけれど、広くていつも安心感を与えてくれていました。精一杯私のことを受け入れてくれて、それを見習わなくてはと思っています。

●Kさん 50代女性 西日本

 今の主人の現状を受け止めることができるきっかけとなりました。認めることで進んでいけることを、非常に丁寧に優しく導入してくださいました。
 自分を卑下することなく、認めることができて、強くなれます。娘に対しても、もっと深く考える必要があるし、大切に娘の立場に立って感じてあげようと思いました。
 自分の負の部分を見ると、卑屈になってしまいがちですが、今回内観をしてみて、上手な指導のもとで行うと、覚悟と強さにつなげられるんだなと実感しました。
 妙にすっきりした感覚でいます。機会があればまた参加したいです。

●Kさん 40代男性 西日本

 初めて内観に参加しました。母にしてもらったことを思い出していくと、あまりにも膨大で驚きました。
 感謝です。

●Iさん 50代男性 東日本

 母を亡くして18年になります。「1日内観」を通じて、忘れていた記憶がいくつも出てきました。自分から母にしてあげたことに比べ、してもらったことの多さに気が付きました。何一つ親孝行らしいこともしてあげられませんでしたが、もし今、目の前に母がいれば、思い切り親孝行したい気持ちでいっぱいです。
 現在◎◎歳になる娘は、◎歳で母親を亡くし、私が男手一つで育ててきました。娘は一人で抱えきれない程ハンディを持っています。
 ◎◎◎◎、◎◎◎◎、◎◎◎◎◎、◎◎◎◎◎◎◎(※注:原文は具体的な病名)。それに母親がいないということ。しかし私にとっては、かけがえのない宝物です。娘が精一杯生きている姿が私の生き甲斐です。普段あまり意識しないこれらのことに気づかせてもらえたのも、「1日内観」のおかげです。
 私にはまだ、娘が将来生きていく道筋をつけてあげるという大きな仕事が残っています。内観を通じて、よしやるぞという元気が出てきました。

●YMさん 50代 西日本

 今回、母親についての自分に対する2回目の内観を行いました。1回目の時は感情がたくさん出ましたが、今回は落ち着いて冷静にできました。1回目をやっているため、心の整理がついてきたからです。
 冷静に自分と母親の関係というものを見ると、自分にとって様々な意味で大変良い関係の人であったと思います。
 今ここにこういう自分として存在しているという事実に、母親の役割・存在は、思った以上に大きかったのだなと思いました。
 兄については、◎つ違いであまり仲良くなかったので、あまり思い出せませんでしたが、兄に対して自分がほとんど何もしてあげていないことにはっきり気づき、愕然としました。兄に対して冷たい自分を発見しました。残りの人生で兄とどう関わることができるのか、しっかり考える必要があると思います。

●IAさん 40代 西日本

 今回は2回目の内観ですが、1回目と同じく、自分の中の悪い印象の過去の記憶がなくなり、受け止め方が変わりました。
 父を嫌っていることが長年の悩みで、どうしても解消できませんでしたが、私の父への印象が自分の思い上がりであって、今まで父に支えられたことに比べて、自分は足下にも及ばないと思いました。
 何だか肩の力が抜けた感じで、これからは、もっと楽に父と接していけると思います。なぜ父を嫌っていたのか、嫌っていたところが自分を育てるために生じたものだったことがわかり、スッキリしました。

●KMさん 40代 西日本

 2回目の内観です。いつもありがとうございます。
 前回は関係が良好な母との関係を調べたので、いろんな記憶をすらすら思い出せたのですが、今回は関係が良いとはいえない家族とのことを観て行ったため、思い出すのが難しかったり、記憶が飛んでいたりして大変苦心しました。
 昔のことだと水に流していたつもりの出来事を、いまだに昨日のことのように怒っている自分に気づいたり、「して差し上げたこと」のつもりでも、実は自分のことしか考えていなかったり、「していただいたこと」を覚えていなかったり、相手に対して思いやりを欠いていたり、とことん己の未熟さと自己中心な考えをしていた事実を思い知りました。関係が悪かったのは、自分自身の冷たい心が原因だったのかも……と感じています。貴重な気づきをありがとうございました。

●Mさん 50代 東日本

 今回は、「嘘と盗み」に対しての自分を各年代で調べました(※注:内観のメニューの一つとして、自分の過去の「嘘と盗み」について調べることがあります)。
 小さい頃から高校生までの親の元で生きていたときは、どんなに守られて幸せな時間を与えてもらっていたのだろう。その年代の自分を調べながらも、その後親元を離れてからの嘘と盗みのことが思い浮かんで恐ろしかった。
 高校生までの自分はシンプルに目の前の事をできていたせいか、大きな嘘や盗みはほとんどなかった。その後、自分一人で生活するようになり、嘘も多くなる。
 オウム真理教にいた時は、嘘をつき人にヨガを教え、オウムに入った人の人生も奪ってしまった。親のお金を盗んででもオウムにお布施するという人の手助けもし、自分も親や夫のお金をたくさん取ってオウムに布施した。夫や知人の仕事を、人生を奪い、子どもの基本的生活を奪ってしまった。(中略)そういう事が今回一連(の内観で)で通してみて明確になった。
 (中略)
 周りの身近だった人々。過ちを注意してくれた人がいたし、ものすごく迷惑をかけてきた人もたくさんいる。本当に申し訳なかったし、育てて見守ってくださり感謝しています。

●Sさん 20代 東日本

 10時間という長い時間(の内観)でしたが、早く感じました。面接者は、私の内観した内容について否定も肯定もしないので、安心して話せました。
 時間軸にそって進めていくので内容がまとまりやすく、終わった際にはとてもすっきりとした感じがしました。

●ISさん 40代 東日本

 母に対する自分について1日調べさせていただきました。母はいつもそんなに近くにいる存在ではなかったのですが、いつの時も近寄りすぎず、遠くからそっと見守り、時には手を貸してくれたりしていたことが、どんなに多かったことかを気づかされました。
 私はずっと母に守っていただいてきました。いつも私の気持ちを尊重してくれて、私が生きやすいように、そして言葉を選びながら私を導いてくれていたことを感じました。
 また、いつも下手に出ている母に対して見下している自分がいたとも感じましたが、母の愛、心はとてつもなく大きなもので、私はずーっと包まれていたんだと思うと、本当に感謝せずにはいられません。
 まだまだ今日思い出したことの何万倍のことをしていただいていると思うので、また思いを馳せてみようと思います。
 父や他の人に対しての自分についてもやってみたいです。
 今日はありがとうございました。