3.水害(地震)に関する科学的な400年周期説
一方、水害や地震の自然災害に関しては、あまり望ましくない400年周期説が、以下の通り、科学者によって報告されている。
総合地球環境学研究所の中塚武氏の論文によると、数千年育った古木の調査から、気候変動には400年の周期性が存在することが確認されている。
年輪の中に含まれる酸素同位体から、降水量の増大した時期を割り出せるそうだ。このデータに注目した、元前橋工科大教授の濱嶌良吉氏(地殻変動解析学)が言う。
「1600年ごろから1700年代初めにかけ、たびたび著しい洪水が発生しています。気になるのは、地盤を刺激する豪雨と巨大地震の連動性が、あらゆる機関の研究結果から指摘されていることです。
1611年には北海道沖でM9クラスの大地震(慶長三陸地震)が発生している。この地震は400年サイクルといわれ、中塚先生の400年に1度の水害予測と時期が重なっている。
約400年前は大地震が相次いだ時代で、近い将来、大水害と同時期に起こりうることが考えられるのです」
確かに、2000年に入ってから、世界で"前代未聞"の自然災害が続いている。05年には、アメリカで風速82メートルのカトリーナ(ハリケーン)が発生。
13年には、フィリピンで6000人以上の死者を出したスーパー台風(台風30号)が起きた。日本でも台風や竜巻被害が深刻になっている。
変動期が来ていることは否定できない。
「地震では、中央構造線とその延長線上で1586年に天正地震(M7.9クラス)、1596年に慶長伏見地震(M7クラス)が発生している。
その後、1605年には南海トラフ地震のひとつである慶長地震(M7.9クラス)、1611年の会津地震(M6.9クラス)など、巨大地震が相次ぎました。
地震が連鎖すれば被害ははるかに大きくなりますし、ここ数十年はあらゆるリスクが重なった時期にあるのです」(濱嶌良吉氏)(専門家が警告 400年に1度の"大水害+大地震"危機到来か 日刊ゲンダイ 公開日: 2017/09/13 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/213378)
樹齢数千年の古木を調査したところ、なんと気候変動には400年の周期性が存在することがわかったというのだ。
そして現在は、その400年に1度のタイミングに突入し、今後さらなる大地震・大水害の発生が懸念されるようだ。
これは「総合地球環境学研究所(地球研)」の中塚武教授による研究成果だが、今から400年前を調べてみると、ちょうど慶長地震をはじめとする一連の大災害シリーズがあった時期と重なる。
では、これから日本のどこで、どのような災害が起きる可能性があるのか、過去を紐解きつつ検討してみたい。
地球研は京都市にある国立研究所で、生物地球化学・古気候学(こきこうがく)を専攻する中塚武教授は気候適応史プロジェクトのリーダーだ。
同プロジェクトは、過去の気候変動などが当時の社会にどれだけ影響を与えたか調査するもので、その中に「古気候学グループ」が含まれる。
この古気候学とは、あまり聞き慣れない分野だが、過去の気候変動を研究し、今回のように古木など自然の遺物から災害発生のサイクルを見出したりする。
中塚氏の研究について見解を求められた元前橋工科大学教授の濱嶌(はまじま)良吉氏は、1600年頃から1700年代初頭にかけて著しい洪水が頻繁に発生していたことを指摘した上で、「1611年には北海道沖でM9クラスの大地震(慶長三陸地震)が発生している。
この地震は400年サイクルといわれ、中塚先生の400年に1度の水害予測と時期が重なっている」(日刊ゲンダイ 2017年9月13日)と語る。
濱嶌氏が指摘する慶長三陸地震は、1611年12月2日に発生したM 8~9クラスの巨大地震と考えられているが、奇しくもちょうど400年後に同じ三陸沖で、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災、M9.1)が発生した。
この400年サイクル説がもっと早く注目されていれば、三陸沖の巨大地震に対して防災意識を高めておくことができたかもしれない。
では、今後の動向を探るためにも、400年前に内外(主に環太平洋火山帯)で他にどのような大災害が起きていたかデータ化し、以下に要約して示す。
【約400年前に起きた大災害】
・ 1596年9月1日:慶長伊予地震、M 7.0、中央構造線断層帯。
・ 1596年9月4日:慶長豊後地震(大分地震)、M 7.0~7.8、死者710人。
・ 1596年9月5日:慶長伏見地震(慶長伏見大地震、文禄の大地震)、M7.5前後。
・ 1596年夏:関東甲信越など各地で100年ぶりの大雨・水害。
・ 1600年2月19日:ペルー沖で地震、M 8.0。
・ 1600年2月28日:ペルー沖で地震、M 8.2。
・ 1605年2月3日:慶長地震(南海トラフ津波地震説など諸説あり)、
M 7.9~8、死者1万~2万人。
・ 1605年4月~1612年:駿河・遠江・美濃・尾張・関東など諸国で大雨・洪水。
・ 1611年9月27日:会津地震、M 6.9、死者3,700人。
・ 1611年12月2日:慶長三陸地震、M 8.1~M9、大津波による死者約2千~5千人。
・ 1619年2月14日:ペルー・トルヒーヨ沖、M8.5。
・ 1619年:諸国で洪水。
・ 1619年5月1日:肥後(熊本)八代で地震、M6.0。
・ 1619年11月30日:フィリピンで地震、M8。
・ 1620年:近畿など諸国で大雨・洪水。
・ 1625年7月21日:熊本で地震、M 5~6、死者約50人。
このように、特に慶長年間(1596~1615)は大地震や大洪水が相次いだ時代だった。
文禄5年に大地震が相次いだことで慶長に改元されたのが1596年だが、その後も災害の連鎖は止まらず、1615年に元和と改元された。
通常「慶長大地震」といえば慶長年間に起きたこれらの連鎖を指すが、単に「慶長地震」と呼ぶ場合は、1605年2月3日に起きたM 7.9~8の大地震を指す。
なお、この地震は南海地震(南海トラフ)、南海沖・房総沖の連動など、震源や規模に関して諸説ある。
また、この時期の水害などについては、断片的に記録に残るだけで総合的な実態を捉えることはできないものの、全国的に台風などによる大洪水が長く続いたようだ。
400年サイクルに従い、さらに古い大災害を調べてみると、大地震は断片的に記録されているのみ。水害に至ってはほとんど記録が残っていない。
(「大地震・洪水の連鎖が400年周期で起きる」国の調査で判明! 現在サイクル突入中、
3つの危険地帯はどこ?
Tokana 2017.10.08 https://tocana.jp/2017/10/post_14676_entry_2.html)
《出典:2023年GWセミナー特別教本『覚醒の道:仏教の幸福哲学 400年周期の仏教改革の開始』第2章より》