12.もう一つの近代日本の周期説:60年周期説
哲学者の柄谷(からたに)行人(こうじん)氏(元法政大学教授)などが、近代日本社会の60年周期説を唱えた(例えば「歴史と反復」『定本 柄谷行人集5』)。下記の表は、同氏と対談した高澤秀次氏(現苫小牧駒澤大学教授)が作成したものである(※参考文献8)。
明治日本と昭和戦後の歴史的反復(60年周期の再現前)
1905:日露戦争終結(ポーツマス条約)→ 1965:日韓条約調印(韓国進出の契機)
1906:満鉄設立(金融資本大陸進出) → 1967:資本自由化・GNP世界3位
1907:足尾銅山・暴動罷業 → 1960年代後半:公害社会問題化(水俣)
1908~11:第二次桂太郎内閣とアナキズム → 1967~70:第二次佐藤内閣と全共闘運動
1909:自由劇場起こる(新劇)→ 1969:アングラ演劇運動全盛
1911:大逆事件・関税自主権の確立 → 1971:三島由紀夫自決・変動相場制に移行
1912:明治アナキズムの敗北と啄木の死 → 1971:全共闘運動終息と高橋和巳の死
1917:石井・ランシング協定 → 1977:日中平和条約・米中国交正常化
(中国の領土保全・門戸開放)
※参考文献8:http://web.nagaike-lecture.com/?eid=911119
また、社会学者の大澤真(ま)幸(さち)氏(元京都大学教授)なども同様の主張をしている(※参考文献9)。
・憲法の発布
1889 年 大日本帝国憲法発布
1946 年(57 年後)日本国憲法公布
・国家の権威の回復
1894 年 日清戦争:戦勝で世界システムの中のまともなメンバーと認められる
1951 年(57 年後)サンフランシスコ講和条約:日米安保条約で主権を回復する
・国威・自信の高揚
1904 年 日露戦争:強国に勝利して自信を高める(神風信仰)
1964 年(60 年後)東京オリンピックで、自信を高める
・反体制派のイメージが悪化し、閉塞感をもたらした事件
1910 年 大逆(たいぎゃく)事件
1972 年(62 年後)連合赤軍事件
・外交上の重大課題の解決
1911 年 不平等条約改定
1972 年(61 年後)沖縄返還
・国家転覆の試みと宗教団体の解体
1935~6 年 大本教事件+2.26 事件
1995 年(60 年後) オウム事件
・米国への奇襲攻撃と世界戦争の始まり
1941 年 日本が対米戦争に突入(真珠湾奇襲攻撃)
2001 年(60 年後)米国が対テロ戦争に突入(同時多発テロ=米国に航空機で奇襲攻撃)
※参考文献9:https://bookmeter.com/books/515246
《出典:2023年GWセミナー特別教本『覚醒の道:仏教の幸福哲学 400年周期の仏教改革の開始』第2章より》