5.関西などの多極構造の日本の未来の可能性
ところで、これまでの歴史では、400年周期で首都が移ったサイクルがあるが、現在の社会情勢を見ると、引き続き東京一極体制が続きそうな予想もある。
実際に国全体の人口が減る中で、他の都道府県に比較して東京圏の人口が大幅に増える当局一極集中は、新型コロナのためにいったんブレーキがかかったが、2022年、再び加速し始めたことが判明している(※参考文献:日経新聞「人口の東京一極集中が再加速」2023年1月30日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA300JW0Q3A130C2000000/)
しかしながら、以前から、東京一極集中は、人口過密によるハンデミック被害の激化に限らず、都市生活環境の悪化、パンデミック対応や大地震などへの災害対策、さらには国家安全保障の視点から望ましくないことがあり、20年前頃には盛んに首都機能移転の動きがあった。
実際に、米国を見れば、東海岸のニューヨークと西海岸のサンフランシスコ・ロサンゼルスの二極体制であり、両者から離れて首都ワシントンがある分散体制であるが、この方がさまざまな意味でのセキュリティ対策としては優れている。
そして、今年になって旧統一教会問題でスポットライトを浴びた文化庁が、日本の歴史的な宗教・文化のセンターである京都に移転したことが最近報道された。
さらに、人口が減少する中で、経済を活性化させる政府の政策の一つがインバウンド(外国人観光客・労働者)の増大であるが、日本の古都として著名な観光地を持つ京都・奈良・大阪などの関西への人的流入や経済の活性化をもたらす。
さらには、中国をはじめとして21世紀の世界経済の拡大のセンターとなるアジア地域に地理的に近いのが関西である。
そもそも、明治中期まで東京府の人口は150万人足らずで(東京都に改組されたのは1943年)、全国都道府県の第9位で、その後、他の地域よりも2倍近いスピードで、急速に成長したものであるが、その期間は中国大陸の諸国の経済は弱かった(※参考文献:https://news.yahoo.co.jp/articles/1878712429c1189e68bbc6c9c3ed9609365196a9?page=1)
こうした中で、今後、東京を中心とした東日本ばかりではなく、西日本の地域が活性化し、東京圏と関西圏の二極体制となっていく可能性もあるのではないかと思う。
例えば、最新の政治情勢の特徴は、大阪都構想を掲げた維新の会の躍進が目立ち、次回の国政選挙で野党第一党をうかがうとする報道も少なくない。
この背景としては、自民党の農協・遺族会・医師会、公明党の創価学会、立憲民主・国民民主党の労働組合、共産党の党員といった、旧来の政党の伝統的な支持母体が一様に弱体化していることがある。
これに対して、維新の会という新興政党は、関西という特定地域を支持母体に持つ新たな形態の政党といえるのかもしれない。
そして、東日本と西日本という大きなくくりで見るならば(静岡まで西日本とすれば)、人口(=有権者)の比率は、ほとんど1対1で拮抗している(※参考文献:https://kansai-sanpo.com/west-japan-east/)
また、先ほど紹介したと都道府県別の2022年の人口の増減に関しても、東京一極集中の再加速とともに、大阪・滋賀・福岡という西日本で主要都市の人口は増加している。
さらに偶然かもしれないが、現在の政界の要人を見れば、自民党総裁の岸田氏、副総裁の麻生氏、躍進する維新の馬場氏や吉村大阪府知事が西日本出身であり、退潮傾向の共産党・立憲民主党の党首は、東日本出身である(加えて、東京都知事の小池氏なども西日本)。
さて、400年周期説は、次に述べる800年周期説のちょうど半分であるため、両者を結び付けて論じる識者もいる。
《出典:2023年GWセミナー特別教本『覚醒の道:仏教の幸福哲学 400年周期の仏教改革の開始』第2章より》
※編集者追記:2024年10月2日に、鳥取県を選挙区とする石破茂氏が第102代首相に就任した(総裁選で次点だった高市早苗氏も奈良県が選挙区)。
次項で述べる「800年周期説」に関連して、世界文明の中心地が800年の周期で規則的に、東洋の都市と西洋の都市とで交互に繰り返されているという見解があり(千賀一生氏「ガイアの法則」)、それによれば、今後の世界の中心地の経度は、日本の関西地方に来るという。