書評『危険な宗教の見分け方』(ポプラ社 対談・田原総一郎氏 2013)
(2014年1月12日)
■田原総一郎さん 1
上祐氏と対談した本がでました。早稲田の理工を出て宇宙開発事業団に就職が決まっていたインテリが、なぜ、オウムのような欠陥だらけの宗教にのめり込んだのか。とことん聞いた。 (2013年12月13日氏のtwitter)
地下鉄サリン事件のような無茶苦茶な犯罪を犯したオウムから抜け出すのに、なぜ7年もかかったのか。
その苦労と悩みと努力がとてもリアリティーがある。(2013年12月13日氏のtwitter)
■田原総一郎さん 2
-上祐さんと対談して、どう感じましたか?
彼は、早稲田の理工を出て、宇宙開発事業団に入った。
そういう人物がなぜ、麻原彰晃の信者になっていくのかというのが、面白かった。
(中略)
もう一つ大きいのは、「1億2000万分の1」では満足できなかったということ。
(中略)
つまり、1億2000万分の1では我慢できないということ。自分の存在理由やアイデンティティを、麻原彰晃がてっとりばやく証明してくれるのではないかという思いが、上祐さんには強かった。(中略)
オウム真理教の犯罪が明らかになったあとも、彼がオウムから離れられなかったのは、1億2000万分の1に戻るのに抵抗感があったからだ。
自分が自分でなくなってしまうことに抵抗を感じて、教団から離れるのに7年かかった。
逆にいえば、オウムによって自分の存在理由が満たされていたという面があったわけだ。
(「田原総一郎公式ブログ」2013年11月20日)
■島田裕巳さん(文筆家、宗教学者)
11月11日(月)
『危険な宗教の見分け方』を読んで、なぜオウムが選挙後に陰謀説を唱えたかが理解できた。
田原さんが冷静に聞いていて、決して糾弾モードではないので、上祐氏も落ち着いて語っているが、興味深かったのは総選挙のときのこと。
なぜ選挙後に、結果が操作されたと言い出したか、その理由が分かるような気がした。
選挙活動をやって、世間の注目を集めたことで、自分たちに票が入ると錯覚したところが、大きな過ちだったのだろう。(「島田裕美の経堂日記」2013年11月11日)
■平野悠さん(ロフトグループ)
田原さんの切り口はいつも鋭い。
全くの宗教音痴でも良く解るように質問の波状攻撃を見せる。
これに対して上裕氏は丁寧に答えて行くのが面白い。
氏の主催する「ひかりの輪」はいわゆる絶対的教祖がいる宗教団体でなく「東洋思想を中心に東西の思想哲学を学習・実践する教室」だとして、今までの宗教とは違うというのが繰り返し述べられている。
さて上裕〜ひかりの輪はこれからどこへ向かって行くのか、全く新たな「輪の思想」を構築出来るのか興味はある。
私自身も上裕さんとは数度対談し、ひかりの輪主催の「聖地巡礼」にも参加したことがあるので、今の上裕さんの「立ち位置」は信用していいと思っている。
(ブログ「Rooftop」レビュー2013年)
■鈴木邦男さん(政治活動家、新右翼団体「一水会」最高顧問、思想家)
11月21日5時、「読書ゼミ」。今日は、田原総一朗、上祐史浩『危険な宗教の見分け方』(ポプラ新書)を読んで、皆で考えました。
生徒たちにも〈宗教を考える上でいい勉強になったようです。全国の中学、高校でも、これをテキストにして、先生が「見分け方」を教えたらいいだろう。(ブログ「鈴木邦男をぶっとばせ」2013年11月25日)
■サイゾー
オウム事件以降、しばらくは宗教=悪という見方が強かったが、近年では、女性を中心にスピリチュアルがブームになり、伊勢神宮への参詣者は今年 1,000万人を数えている。
宗教や信仰に対する価値が、あらためて見直される時期になってきているのだろう。
そんな状況だからこそ、今一度、オウム真理 教事件を思い起こし、当事者のたどった道を検証していくことは必要な作業なのではないだろうか?(文=萩原雄太[かもめマシーン])日刊サイゾー2013年12月25日「「自尊心を刺激されて、誇大妄想を信じた」元オウム・上祐史浩が麻原を捨てるまで」