オウム真理教の清算
オウム真理教時代の清算についてのコーナーです

このコーナーについて

『ひかりの輪のオウム時代の反省・清算と外部の評価』
(2023年8月22日)

 この記事は、ひかりの輪が発行したパンフレット『ひかりの輪のオウム時代の反省・清算と外部の評価』(2023年8月発行)の内容です。同パンフレットは、当サイトの当コーナー「オウム真理教の清算」を要約したもので、これを読めば当コーナー全体の概要がおわかりいただけるものとなっています。

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『ひかりの輪のオウム時代の反省・清算と

 外部の評価』

 ひかりの輪は、20073月に、上祐代表をはじめとする中心メンバーがオウム真理教(現アレフ)を脱会し、同年5月に設立しました。それ以来、オウム時代の反省に基づき、事件被害者の方への賠償に努め、さらにその反省・教訓の情報発信や、アレフ信者の脱会支援などの活動を続け、「オウムの清算」を進めてきました。

 2014年には、宗教団体ではなく、東西の思想哲学の学習教室としての団体改革を行い、特定の神・人間の崇拝は一切せずに、仏教やヨーガの思想と現代の心理学などを学び、自然や聖地を巡る活動などを行ってきました。

 その結果、2017年には、ひかりの輪はアレフとは別団体だという判決が東京地方裁判所から出されました。また、外部識者が構成するひかりの輪の外部監査委員会も、ひかりの輪には、オウムのような危険性はないとの調査結果を発表しました。そして、20225月には、米国務省が、「今現在はテロの意思も能力もない」と判断し、1997年に導入されたオウムに対する外国テロ団体の指定を25年ぶりに解除するに至りました。

 また、ひかりの輪は、団体の基本理念・会則に加え、社会的に十分に適切な活動に努めるために、日本弁護士連合会が示した基準に基づく規定等を定めて公表・活動しています。

  その概要を以下にご紹介いたします。

             目 次

第1,オウムの反省・総括......2
第2,オウム事件被害者の皆様への賠償、追悼、お詫びの表明......4
第3,「脱麻原」「反麻原」の団体改革......7
第4,アレフ信者の脱会支援......10
第5,アレフとの違いのまとめ......10
第6,ひかりの輪への観察処分について......12
第7,社会的に適切な活動の確保について......15
第8,ひかりの輪に対する評価......15

【※この資料に掲載した内容は、ひかりの輪公式サイトの「オウム真理教の清算」コーナーに掲載した内容(https://joyu.jp/hikarinowa/aum/)を要約したものです。より詳細な内容は、上記サイトのページをご覧ください】


 第1,オウムの反省・総括

 
   ひかりの輪は、オウム真理教・オウム事件への反省・総括を深め、文書化し、ネットや書籍、マスコミ、トークイベント等で広く公表し、二度と同様の事件が起きないようにするための教訓を残してきました。

 ひかりの輪は、会則において、オウムの過ちに対する反省・総括を最も重要な活動と位置付けており、ひかりの輪の活動の全ては、この総括に基づいて展開しています。

 具体的には、ひかりの輪では、オウム真理教の教祖・麻原彰晃(本名:松本智津夫)のことを、その生い立ちや身体障害等に起因した人格障害者であると位置付けています。麻原は、心理学用語でいうところの「空想虚言症」「誇大自己症候群」であり、そのような人格障害が、国家権力から不当に攻撃されているという過度の被害妄想を生み出しました。

 そして、麻原は、自らが支配する国家の建設を妄想し、その実現を妨害しようとしているように見えた社会に対して、サリン事件をはじめとする一連の事件を引き起こしていきました。

 さらに、麻原のみならず、麻原に自らの欲望を投影して、麻原と同調して事件に関与した一部の弟子達や、事件を全く関知していなかったとはいえ、そのような教団を支えていた多くのオウム信者にも、その責任は帰せられるべきだと、ひかりの輪では考えています。

 ひかりの輪の中でも、かつてオウム信者であった者につきましては、深くその責任を感じ、償いのためにも、二度と同様の事件が起きないように反省・総括を深め、文書化し、以下のように公表して、社会に教訓を残す活動をしています。

1,インターネット上のブログでの反省・総括の公表 


 文書化したオウムの反省・総括の内容は、インターネット上のブログ『オウムの教訓――オウム時代の反省・総括』(https://ameblo.jp/hikari-sokatsu/で公表しています。

 その主な内容(目次の一部)は、以下の通りです。

◎団体総括(本編)

 ┣『オウム真理教時代(19831999年)の総括』
 ┣『アレフ時代(20002007年)の総括』
 ┗団体総括のための会合の記録

 ◎団体総括(テーマ別)
 ┣麻原の変遷の経緯の総括
 ┣『事件の要因に関する総括と今後の方針』
 ┣『心理学の「影の投影の理論」に基づくオウム真理教と日本社会』
 ┣『心理学的な視点に基づく、麻原・弟子・現代社会の人格分析』
 ┣【動画】上祐史浩『オウム真理教の問題の心理学的な分析』
 ┗麻原・アレフを盲信する原因・落とし穴――盲信から脱却するために

◎上祐史浩個人の総括
 ┣『上祐総括:オウム入信から現在まで』
 ┗『上祐史浩からアレフ信者へのメッセージ2007

◎指導員・会員の総括
 ┣水野愛子「オウム・アーレフの総括」
 ┣細川美香『オウム・アーレフの反省・総括と今後の抱負』
 ┣広末晃敏『私が起こしたオウム事件―オウム・アーレフ18年間の総括』
 ┣宗形真紀子『麻原彰晃とわたしの魔境』
 ┣山口雅彦『私のオウム真理教総括』
 ┗その他の会員の陳述書など

  詳細は、上記のブログ(https://ameblo.jp/hikari-sokatsu/)をご参照ください。


2,一般の出版社の刊行書籍での反省・総括の公表


 また、オウムの反省・総括の内容を、以下の通り、一般の出版社を通じて出版し、社会に広く流布してきました。

  これらの活動は、今後同様の過ちに陥る人が出ないよう、同じ悲劇が繰り返されないよう、多くの人びとに役立てることを目的に行ってきましたが、出版を通じて、社会との意見交換が深まり、団体の透明性・社会性を高めることにもなりました。

 (1)『オウム事件 17年目の告白』
   扶桑社:上祐史浩著、有田芳生検証(20121217日)

 オウム真理教時代から現在のひかりの輪までを語り、オウム事件の反省、麻原信仰の反省・原因・脱却の道、麻原の正体としての精神病理、二度と同様の事件が起きないようにするための考えを掲載しています。

 また、オウム問題に詳しいジャーナリスト・参議院議員の有田芳生氏による検証寄稿や、同氏と上祐代表との対談もあわせて掲載されました。

 
(2)『終わらないオウム』
  鹿砦社:上祐史浩、鈴木邦男、徐裕行著:田原総一朗解説
  (2013530日) 

 内容は、上祐代表と、元オウム幹部・村井秀夫を殺害し上祐代表の命をも狙っていたという徐裕行氏と、両者をよく知る鈴木邦男氏(新右翼団体「一水会」最高顧問)との3名による鼎談、対談によって構成されています。

 そして、出版社が、「"オウム以前"の「連合赤軍」。"オウム以降"の「ネット右翼、在特会」といった、20周年で発生する「オウム」的なもの=日本の暗部にわれわれは今、どう立ち向かうべきなのか?」(「鹿砦社出版ニュース」)と伝えているように、オウム的なものの再発防止の道に関して考察しています。

(3)『危険な宗教の見分け方』
     ポプラ社:田原総一朗、上祐史浩著(2013115日)

 著名なジャーナリスト・田原総一郎氏との対談の中で、麻原・オウムの盲信の原因とそれからの脱却、そして、宗教やスピリチュアル的なものにどのように対処すれば、危険を回避できるかについて述べています。


(4)『二十歳からの20年間--"オウムの青春"の魔境を超えて』
   三五館:宗形真紀子(ひかりの輪役員)著(2010224日) 

 自身が脱却するのに長年を要した、オウム真理教・アレフ・麻原の修行が、いかに人を、自己中心的で傲慢な「魔境」と呼ばれる精神状態に導くのかということについて、指摘・批判しています。

3,マスコミ(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)およびトークイベント等での反省・総括の公表

 その他、ひかりの輪では、上祐代表らが、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・トークイベント等において、オウムの反省・総括を公表してきました。

 その事例は極めて多数にのぼりますので、詳細は、以下のサイト(ひかりの輪公式サイト、上祐史浩オフィシャルサイト)をご覧ください。

 ①上祐代表のマスコミ・ネットへの出演等
 https://joyu.jp/interview/02_1/1550.html

②上祐代表のトークショーでの対談・講演
 https://joyu.jp/interview/03_1/1530.html

 

第2,オウム事件被害者の皆様への

   賠償、追悼、お詫びの表明


 ひかりの輪は、オウムの反省・総括に基づき、オウム事件被害者の皆様と賠償契約を締結し、賠償金のお支払いを続けてまいりました。本年(2023年)8月時点で、6000万円弱をお支払いさせていただきました。

 また、節目の時期ごとに、事件を想起し、事件被害者の皆様への追悼・慰霊を行う行事を行い、お詫びの表明を行ってまいりました。

1,賠償契約の締結とお支払いの状況


 200976日、ひかりの輪は、オウム真理教犯罪被害者支援機構との間で、新たに被害者賠償契約を締結いたしました。

 ひかりの輪は、20075月の発足以降、事件被害者への賠償金配分を行ってきたオウム真理教破産管財人に対して、賠償金のお支払いをしてまいりました。

 しかし、20093月にオウム真理教破産手続が終結し、破産管財人が辞任したことにともない、賠償金配分を行う主体がオウム真理教犯罪被害者支援機構に変わりましたので、同支援機構と新たな契約を締結した次第です。

 この契約に基づいて、ひかりの輪がお支払いしてきた賠償金の額は、以下の通りとなります(2009年の賠償契約締結以前は、破産管財人に対する支払い)。

・2007年 400万円
・2008年 800万円
・2009年 300万円(※以降、20232月まで毎月25万円+αのお支払いペース)
・2010年 300万7961円
・2011年 300万6093円
・2012年 305万円
・2013年 506万0080円
・2014年 302万2880円
・2015年 300万円
・2016年 304万8000円
・2017年 304万1000円
・2018年 300万円
・2019年 300万円
・2020年 300万円
・2021年 300万円
・2022年 300万円
・2023年 1月17日 25万円
・   同年 2月17日 25万円
・   同年 3月17日 25万円
・   同年 3月20日 25万円(※以降、毎月50万円のお支払いペースに増額努力)
・   同年 4月17日 50万円
・   同年 5月17日 50万円
・   同年 6月16日 50万円
・   同年 7月15日 50万円
・   同年 8月17日 50万円
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      計    5973万6014円

〈※2024年1月追記:最新のお支払い額は、こちらの記事をご覧ください〉

 
2,アレフへの再発防止処分の決定と、ひかりの輪の賠償努力の強化について

 
 以上に述べたひかりの輪の賠償努力とは対照的に、アレフは賠償金の支払いを逃れるため、団体規制法で義務付けられている公安調査庁への資産報告を怠ったため、本年(2023年)3月以降、再発防止処分(活動の一部制限)を受けており、被害者賠償がますます停滞するおそれとなったことから、ひかりの輪では賠償金のお支払いを増額する努力を続けております。詳しくは以下の通りです。

 ひかりの輪は、2009年以降、団体をとりまく依然として厳しい社会状況と財務状態の中で、前記の通り、賠償契約の義務を履行してきました。その一方で、アレフは、その詐欺的な教化と麻原の教え・教材を用いて、多くの新しい信者を獲得し、高額の寄付を受け取るなどして、ひかりの輪に比較して、団体と資産の規模で大きく上回りました。

 アレフは、残りの賠償債務(2019年時点で約10億3千万円)を完済するに十分な資産があるにもかかわらず(公安調査庁によれば、同年時点で12億円以上の資産があることをアレフは同庁に報告)、十分な賠償支払いを怠り、2018年以降の5年以上は、全く行っていません。

 以下の図①は、アレフの保有資産と1年ごとの賠償額、図②は、ひかりの輪の保有資産と1年ごとの賠償額です。そして、図③は、アレフとひかりの輪が保有資産のうち賠償金に充ててきた割合を示したものです。

※図①
baisyoaleph.jpg※図②
baisyohikari.jpg※図③

baisyowariai.jpg
 以上の図から、アレフがひかりの輪に比べて巨額の資産を有していること(なお、グラフの縦の目盛の単位は、アレフが「億円」で、ひかりの輪が「千万円」であることにご注意ください)、それにもかかわらず、アレフの賠償金の支払いがごくわずかにとどまってきたこと(2018年以降は皆無であること)、その一方、ひかりの輪が、資産が少額の割に賠償金をお支払いし続けてきたことが、おわかりいただけると思います。

 ひかりの輪としては、従前は、アレフの支払いによって賠償債務が早期に完済されることを期待もしていましたが、特に2020年末の最高裁での賠償支払い命令の確定後もアレフが支払う気配を一向に見せない中で、徐々にひかりの輪単独で残債務を背負っていく事態が発生する可能性を感じるようにもなり、団体財務の強化と賠償支払いの増額のための検討を様々な関係者の協力も得て行ってきました。

 そして、本年3月、ついにアレフに再発防止処分の適用がなされる事態となったことを受け、これまで温めてきた賠償支払いの改善策を本格的に実行し始めています。具体的には、2023年3月からは、従来の毎月の賠償支払い額(25万円)の倍の額(50万円)を支払わせていただいております。

3,慰霊行事とお詫びの表明


 上記で述べたオウム事件被害者の皆様への賠償の実行は、単なる金銭のお支払いだけでは意味がなく、そこに贖罪の心が込められていなければならないと、ひかりの輪は考えます。そこで、特に2009年から現在までにかけて、おおむね3か月に一度、オウム事件犠牲者のご冥福と負傷者の早期回復をお祈りする慰霊行事を行っています。

 その他、慰霊行事では、事件の概要や、被害者・関係者の声を報道に基づいて紹介するともに、被害者賠償金の寄付を募る等しています。

 また、多くの被害者を出した地下鉄・松本サリン事件の日には、毎年、お詫びのコメントを公表しています。

 

第3,「脱麻原」「反麻原」の団体改革


 ひかりの輪は、前記のオウムの反省・総括に基づき、オウム的・麻原的なものからの脱却(=脱麻原)、オウム的・麻原的なものへの反対(=反麻原)を徹底するための団体改革と活動を行ってきました。

 
1,脱麻原・脱オウムの諸改革


 (1)オウム問題の原点=「親との断絶」の解消(親への感謝を育む「内観」の実践)

  かつてのオウム真理教および現在のアレフでは、特に出家信者と親族との連絡を規制するなど、家族・親族を軽視する傾向が強く、それが一連の事件の原因の一つになったものとひかりの輪では反省・総括を行ってきました。

 そこでひかりの輪では、発足以来、オウム真理教の反省・総括を深めて文書化することに加え、20092月以降、刑事政策・犯罪者更正の専門家である法学部の大学教授(現ひかりの輪外部監査委員)のご指導を受けながら、組織的に、自己反省法「内観」を実践し、オウム時代への反省・総括をいっそう深めてまいりました。

 内観とは、もともと、古くから伝わる「身調べ」という修行からヒントを得て、誰にでも実践可能な自己探求法・自己反省法として、吉本伊信氏によって、70年ほど前に確立され、効果が認められているものです。

 内観は、これまで、犯罪者更生、更生教育のために、刑務所や少年院等でも指導されてきており、内観の実践者が5年以内に再び刑務所に入ってくる確率(再入率)は、 実践していない者に比して約50%に低下しているとの報告がなされているほどです。

 また、内観は、企業研修や学校教育、心理的な治療の場でも用いられています。

 内観では、自分がこれまでの生涯で、

  ①他人からしてもらったこと
  他人にして返したこと
  他人に迷惑をかけたこと

を一つ一つ思い出していくという作業を行います。

 すると、自分は両親をはじめとする周囲の人物から非常にたくさんのことをしてもらっているにもかかわらず、自分は周囲に大したことをして返してあげておらず、むしろ多くの迷惑をかけてきたという事実に気づき、すなわち自分の自己中心性を自覚し、反省し、他者への感謝と奉仕に向かっていくことができるようになるのです。

 ひかりの輪では、前記の大学教授をはじめとする内観の専門家のご指導をいただいてきました。そしてひかりの輪の指導層が、専門家の指導のもと内観を修得した上で、幹部研修においても実践を繰り返し、さらには一般会員等に対しても紹介・指導し、その実践を推奨しています。

 この内観においては、まず両親への感謝を培っていくことになりますが、これは、オウム事件の原点ともいえる坂本弁護士一家殺害事件の原因となった親子断絶の問題を解決することに大きく寄与しています。

 現に、前記のようなオウム真理教の反省・総括を行い、その結果、親族との関係を復活させていく中、さらに内観を深めた結果、約1020年ぶりに両親に面会したり、関係回復したりした者が出てくるなど、親族との関係改善に顕著な効果が生じています。

 さらに、思想面についても改革が進み、両親の子に対する愛の中に神仏の愛が現れること、すなわち両親の延長上に神仏がましますとして、両親の本質を神仏に等しいものと位置付け、尊重しています。

 これは、両親の子に対する愛は偏った愛着心に基づくものとして低く見て、両親との関係を断ち切るようにと指導したオウム真理教・アレフの教義と比べれば、思想の劇的な転換を示すものだと、ひかりの輪では考えています。

(2)外部監査委員会を設置、外部の監査・指導の受け入れ


 ひかりの輪では、前記の通り、外部の識者からなる外部監査委員会を設置し、外部の監査や指導を受けています。

 これはひかりの輪が、外部の意見を聞き入れながら運営されており、公安調査庁が主張するところとは実際に大きく異なり、閉鎖的・独善的・独裁的ではない現実を示していると考えます。

 具体的には、外部監査制度の下で、ひかりの輪の役員・専従会員を中心に、監査委員によって、

①団体活動に関する定期的な聴取や、助言・指導を含む各種の監査を受けているとともに、
②自己反省法「内観」や、「修験道」の学習実践などの、精神的な指導、

をいただいております。

 (3)社会との様々な交流

 
 ひかりの輪は、以下の通り、様々な機会に様々な一般人や社会と交流しており、かつての閉鎖的なオウム真理教とは違って、開放的な団体となっています。

 ①入会しなくても参加できる団体活動 
  ひかりの輪の行事や活動--具体的には、セミナー、勉強会、聖地巡り等は、ひかりの輪に入会しなくても、誰でも参加することができます。また、セミナーの多くは、インターネットで誰でも見られるように公開されています。
 つまり、ひかりの輪は、誰もがその活動を見ることができる、きわめて開放的な団体です。

 ②識者との対談・講演・トークライブの実行
  ひかりの輪では、主に上祐代表が中心となって、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット等のメディアや、トークライブハウス等において、識者やジャーナリスト等と対談や講演を行ってきました。
  こうして、外部の声に謙虚に耳を傾けるとともに、団体の考えや現状等を説明し、時には質疑応答を通じて、意思疎通をはかり、開放的で透明な組織となってきたのです。

 ③大学(大学生)や宗教学者等の研究の受け入れ
  ひかりの輪は前記の通り、オウム・麻原に対する反省・総括に基づく活動を展開していますので、国内外の大学(大学生)や宗教学者から研究対象として協力してほしい旨の要請がしばしば寄せられ、協力させていただいてきました。

 ④広報部による対外活動(報道機関・地域住民・行政機関への対応)  
  ひかりの輪広報部では、報道機関・地域住民・行政機関等からの問い合わせに対して、可能な限り迅速に対応し、団体活動の透明化を図っています。

 ⑤オウムの反省・総括の出版活動
  ひかりの輪では、オウム・麻原についての徹底的な反省・総括に基づき、その内容を、一般の出版社を通じて出版し、社会に広く流布してきました(3ページ参照)。

(4)宗教から哲学教室への変革

 ひかりの輪は、これまで、その思想や実践において、麻原・オウム真理教の信仰や教義や性質からの改革(「脱麻原」)を行ってまいりましたが、2013年までには、宗教団体ではなく「哲学教室」としての改革を実現するまでの、大きな変革に至りました。

 ひかりの輪が、「宗教」ではなく「哲学」と自己を規定し始めた重要な契機は、2013年夏に行われた上祐代表とジャーナリスト・田原総一朗氏との対談でした。この対談で、田原氏は、ひかりの輪のことを、「宗教じゃない、哲学に近い」と述べられました(18ページ参照)。 

 このように、ひかりの輪は、「脱麻原」「脱オウム」の諸改革を成し遂げてきました。

2,反麻原・反オウム(アレフ)の諸活動

 ひかりの輪は、これまで全力でオウム真理教の教義の流布を防いできました。

 そのために、上祐代表をはじめとするひかりの輪の指導員は、自らのオウム・アレフ時代の反省・総括を公表し、麻原・オウム・アレフを徹底的に批判する活動を広範に行ってきました。具体的には、団体の教室活動、出版その他のメディア、講演活動など、その機会は多岐にわたってきました(24ページ参照)。

 さらに、次に述べるように、アレフ信者の脱会支援等を行ってきました。

 

第4,アレフ信者の脱会支援


  ひかりの輪では、アレフが現在も引き起こしている様々な問題の解決に努めています。

 アレフは、いまだに麻原彰晃を絶対視し、組織の引き締めを図る一方、そのような狂信的信仰に多くの若者を巻き込んでいっています。

 そのため、ひかりの輪では、『アレフ洗脳被害者・相談救済窓口』を設置し、「アレフ問題の告発と対策ブログ」(http://alephmondaitaisaku.blog.fc2.com/を運営して、麻原を絶対視するアレフ(オウム)の教義の誤りを明らかにしたり、アレフの違法・不当な行為を告発したりしています。

 また、アレフによる「洗脳的布教・教化活動(アレフと隠した覆面ヨーガ教室で人脈を作り、段階的に、オウム事件は何者かの陰謀と思わせ麻原崇拝へと導く手法)」の被害に遭われた方からのご相談に応じ、脱会支援のお手伝いを、団体を挙げて行っています。ひかりの輪は、自分たち自身が、その洗脳教化から脱却した経験を活かして、これまでに約150名の方のアレフ脱会のお手伝いをしてきました。

 さらに、アレフの実態を知らない人たちが新たにアレフに入信することを阻止するための活動も展開しています。


第5,アレフとの違いのまとめ

 
   ひかりの輪は、上記の団体改革を行ってきた結果、オウム真理教やその後継団体であるアレフとは、全く性質を異にする団体となりました。その概要は以下の通りです。

1,識者等に徐々に認められつつある両団体の違い


 オウム問題をよく知る著名なジャーナリストや弁護士、宗教学者などの識者の方の一部には、すでに、ひかりの輪はアレフ(オウム)と違うと理解されている方が出てきています。

◎田原総一郎氏(オウム問題に詳しい著名なジャーナリスト)

「(ひかりの輪は)宗教じゃない... 
 麻原彰晃をいまでも信仰してるアレフの会...は宗教です...
 
オウム、麻原を全面的に批判する「ひかりの輪」という、
 これは宗教じゃないんですよ。
 麻原を批判し、オウムを批判し、人間とはいかに生きるべきか(を考えている)。
 どっちかというと哲学に近いのね。ひかりの輪っていうのは。」
 (ラジオ対談後のインタビュー動画2013.06.21放送
 「田原総一朗のタブーに挑戦! アベノミクスは成功するのか?」より) 

◎紀藤正樹弁護士(オウム問題に詳しい)『サンデー毎日』(201271日号

 ひかりの輪はアレフから追い出された少数派であり、教団というよりサークルに近い。サリン事件のようなことをやれば、団体として大変なことになると分かっていた幹部連中が追い出された。

 サリン事件を体験していない人たちが幹部となったアレフには、『事件には何かしらの意味があった』と思っているような信者が残りました。

 アレフ信者の、麻原彰晃に対する信仰の度合いは、95年以前と同じで、むしろ個人崇拝、帰依度は高まっている。昔との違いは、サリンを作るような施設がない点だけです...
 今もアレフが勢力を拡大している事実を深刻に受け止めないといけません。

◎江川紹子氏(オウム問題で著名なジャーナリスト)2012617日のツィッター

 現時点の問題という点では、だんまりを決め込み、事件への反省のないまま麻原信仰を続け、被害者への賠償も放り出して施設を拡充し、詐欺的勧誘を続けているアレフの存在の方が、(ひかりの輪よりも)遙かに問題は大きいのではないか。  
 (アレフの)荒木広報の悩んでるふり、考えてるふりにごまかされてはならない。

2,ひかりの輪とアレフの違いの概略


 そして、ひかりの輪とアレフの違いの概略は、以下の通りとなります。

 

 

ひかりの輪

アレフ

会員数

入会を強調せず(60)

千数百名(公安調査庁発表)

経済規模

1000万円未満(6ページ参照)

10億円(6ページ参照)

遵法精神

あり

違反・違法行為の疑いあり

オウム事件の謝罪・反省・賠償

反省のもと賠償等を実践

事件を反省せず、賠償契約を拒絶

団体の基本的性格

思想哲学の学習教室

盲信・狂信型のカルト宗教団体

オウム真理教の教材の使用

すべて破棄・使用せず

全面的に使用

麻原に対する見方

人格障害・反省できない人物と分析

神の化身・絶対的存在で帰依の対象

オウム事件に対する見方

許されない事件

麻原の深遠な考え、国家権力の陰謀

信仰対象

特定の信仰対象をもたない

麻原と、シヴァ大神

世界観・基本的な思想

一元論(「教団を善、社会を悪」とする善悪二元論を否定)

善悪二元論

行事・教材の公開性

公開

秘密主義的

報道機関・地域住民への対応

対応

拒否や無視

外部監査の受け入れ

ある

ない

活動の形態

公開型

覆面の活動あり

他宗教・宗派等との交流

あり・学習実践

なし・排斥

親族との交流

あり

強く規制

 

第6,ひかりの輪への観察処分について


    ひかりの輪は、「脱麻原」「反麻原」の改革を進めた結果、オウム真理教でないことは明らかですが、公安調査庁はオウム真理教後継団体であると主張して、団体規制法に基づく観察処分を行ってきました。

 しかし、その一方で、公安調査庁の主張を否定する裁判所の判決や、外部監査委員会の見解、米国国務省の見解もありますので、以下にご紹介します。

 

1,観察処分を一度取り消した東京地裁の判決

 
(1)公安調査庁の「主張の柱」を裁判所が否定


  ひかりの輪に対する公安調査庁の観察処分を取り消すよう求めた裁判で、東京地方裁判所は、2017925日、約24ヵ月間にわたる審理を遂げた結果、ひかりの輪への観察処分を取り消すとの判決を下しました。

 ひかりの輪は、2007年の発足以来10年以上にわたって公安調査庁の観察処分を受けてきましたが、それが明確に違法とされ、取り消される司法判断が出たのは初めてであり、まさに画期的なものでした。

 この判決に対して、公安調査庁のある幹部は、「我々の主張の柱である、ひかりの輪の設立の経緯まで否定されたのは厳しい」とコメントしています(『読売新聞』2017926日〈紙版〉)。

 この公安調査庁が「主張の柱」にしてきたという「ひかりの輪の設立の経緯」とは、

「ひかりの輪は、オウム真理教教祖・麻原彰晃の意思に従って、観察処分を免れるために、アレフ(麻原を信仰するオウム真理教の後継団体)と役割分担をして設立された『麻原隠し(麻原への信仰を表向きは隠しながら、実際には麻原を信仰していること)』の団体である。」

というものです。

 そして、このような団体だからこそ、ひかりの輪は観察処分対象団体であるアレフと一体であって危険、よってひかりの輪にも観察処分が必要というのが、公安調査庁の「主張の柱」であり、根幹でした。このような真実から全くかけ離れた虚偽で架空のストーリーが、ひかりの輪に観察処分をかける最大の理由となっていたのです。

 しかし、裁判所は、そのような公安調査庁の主張を裏付ける証拠はないとして、公安調査庁の主張を根本から否定したのです。

 具体的には、判決の94頁に、「原告(ひかりの輪のこと)の設立は、別団体を組織して、別団体との間で役割分担しながら活動することを求めていた松本(麻原のこと)の意思に従ってされたものであるとまでは認めることはできない。」という事実認定が明記されています。

 だからこそ、同庁幹部は「主張の柱が否定されて、厳しい」とまで述べているわけです。

(2)「ひかりの輪は麻原への帰依を否定」と認定


 ひかりの輪は、この判決が「当初から麻原への帰依を否定している」と明確に認定しているとおり、もともとオウム事件をオウム・麻原の犯罪と認めて直視し、麻原への帰依を否定する者たちが中心となって設立した団体です(逆にアレフは、オウム事件はオウム・麻原が起こしたものではなく、陰謀によって罪をなすりつけられたものであると信者等に教育し、麻原への帰依を強化しています)。

 この判決においても、ひかりの輪の活動として真っ先に認定された事実は、ひかりの輪がオウム・麻原について詳細な反省・総括を行い、広く社会に公表してきたことです。ひかりの輪は、この反省・総括に基づいて、二度とオウム事件のような事件が起こらないようにするための思想の探究や実践を展開してきたのです。

 さらに、今もまだオウム・麻原を信仰するアレフから、会員を脱会させる活動を積極的に行って成果を挙げてきたのであり、それもまた判決で明確に認められています。

(3)「ひかりの輪とアレフの性格は相当に異なる」


 また、この判決では、ひかりの輪が観察処分対象団体であるアレフとは別団体である根拠として、「ひかりの輪とアレフの性格は相当に異なるものとなっている」事実があることを指摘しています。

 たとえば、団体の発足当初から「基本理念」において麻原に対する絶対的帰依が否定されていることや、哲学教室への改変の事実が認められています。

 他に、判断の基礎として認定された事実の中には、ひかりの輪外部監査委員会による監査結果(ひかりの輪には観察処分適用要件が認められないとの監査結果)や、大学教授の指導のもとでの自己反省法「内観」の実践、そして、先に述べたオウム事件への反省・総括の取り組みなどが触れられており、こうしたひかりの輪の長年にわたる様々な努力が評価されたものと見られます。

 さらには、ひかりの輪がアレフからの脱会支援をしていることや、アレフが起こしている法的問題について被害者組織に協力していることを指して、「むしろひかりの輪とアレフは対立関係にあると評価できる」とまで判決は述べています。

 かねてから、ひかりの輪では、ひかりの輪とアレフの違いを明らかにしてきましたが、それが裁判所によっても明確に認められ、この判決に結び付いたということができます。

(4)東京地裁判決が取り消された背景には、政治的判断があったと思われること


 しかし、この東京地裁判決は、その後、東京高裁が取り消し(2019.2.28、最高裁で確定しました(2020.3.10)。取り消した理由は、ひかりの輪でも採用している仏教・ヨーガのごく一般的な修行がオウム真理教でも行われていたこと等をもって、オウム真理教と同一性がある等というもので、ひかりの輪の「脱麻原」「反麻原」の取り組みを無視する極めて不当なものでした(なお、取り消されたのは判決の「主文」の部分〈「観察処分を取り消す」という結論の部分〉であって、事実認定の部分が全て取り消されたというわけではありません)。

 一般的に、国を相手にした行政訴訟では、地裁よりも、高裁において、より「政治色」が強く出る、つまり、事実認定や法解釈のレベルを超えた判断、たとえば「判決が社会に及ぼす影響」などを考慮した判断が出るといわれています。やはり、一連のオウム事件によって、いまだに苦しんでいる被害者の方々がいらっしゃることや、ひかりの輪のみならずアレフも含めた地域の住民の皆さんのご不安というものも考慮した上での「政治的判断」も加わったものと考えられます。それが、上記のような不合理な事実認定の背景にあるものと考えられます。

 ひかりの輪としましては、今後も、公安調査庁等から主張される事実について、事実ではないことは事実でないこととして、冷静に司法手続等の場で訴えていく予定ですが、このような東京高裁判決の背後にある、市民の皆様が抱いているひかりの輪への不安や誤解を払拭していけますよう、今後とも努力していく所存です。

 

2,観察処分を取り消した東京地裁判決を支持する識者の見解

  一方、ひかりの輪への観察処分を取り消した東京地裁判決につきましては、オウム真理教(現アレフ)とひかりの輪を専門とする優れた宗教学者の方々が、長年の広範な調査研究の結果として、ひかりの輪が危険な団体ではないことを認め、その判決を支持し、公安調査庁の見解を否定する報告を正式に発表されています。

 また、識者からなるひかりの輪外部監査委員会も、ひかりの輪には観察処分適用要件が存在しないとの監査結果を繰り返し出しており(つまり、観察処分を取り消した東京地裁判決と同様の監査結果を出しており)、さらには、米国の国務省も、20225月に、オウム真理教について「テロ活動の能力や意思を保持していない」として、1997年以来25年間にわたって続けてきた「外国テロ組織(FTO)」指定を解除するなど、結果的に東京地裁判決を支持する見解を示しています。

 以上のとおり、ひかりの輪には観察処分が必要だとする公安調査庁の見解は、政治的判断に傾いた東京高裁の判決を除けば、東京地裁の合理的判決、複数の宗教学者、識者からなる外部監査委員会、そして米国の国務省によって否定されているのです。

  

第7,社会的に適切な活動の確保について


 ひかりの輪は、団体の基本理念と会則に基づき、その活動において全ての法令を遵守しています。また、団体の活動を外部から監査するために、すでに述べた通り、外部監査委員会を設置しています。

 また、法令順守に限らず、日本弁護士連合会が提示した指針に基づく規定をふくむ諸々の活動規定を制定して、社会的に適切な活動に努めています。さらに、安心して参加していただくために、適切な価格の参加費を定めて公表するとともに、参加者の自由意思を十分に保護する仕組みを定めています。その詳細は、以下のページをご覧ください。

◎ひかりの輪公式サイト「ひかりの輪の学習システム・教材・料金等のご案内」
http://www.joyu.jp/hikarinowa/overview/06_1/0051_2.html

◎ひかりの輪公式サイト「基本理念・会則・諸規則・法令順守」
http://www.joyu.jp/hikarinowa/overview/04/0070.html

 

第8,ひかりの輪に対する評価


  以上のオウム真理教に対する反省・総括に基づくひかりの輪の活動は、以下の通り、国内外から評価されています。

1,米国務省による評価と決定


 2022年520日、米国の国務省は、オウム真理教について「テロ活動の能力や意思を保持していない」として、1997年以来25年間にわたって続けてきた「外国テロ組織(FTO)」指定を解除しました。そして、「日本などがテロの脅威の排除に成功したことを示すものだ」という見解も発表しており、これは、ひかりの輪はオウム真理教と同一であるとして観察処分の必要性を認める公安調査庁の見方を否定するものとなっています。

2,外部監査委員会による評価


 外部識者(犯罪者更生専門の大学名誉教授、伝統宗教の大家、保護司、元公安調査官)によって構成される「ひかりの輪外部監査委員会」は、10年以上にわたる監査の結果、ひかりの輪には公安調査庁による観察処分をしなければならないような危険性は存在しないという監査結果を3回(2014年、2017年、2020年)にわたって公表しています。

3,宗教学者による評価


 オウム真理教(現アレフ)とひかりの輪を専門とする優れた宗教学者の方が、長年の広範な調査研究の結果として、以下の通り、ひかりの輪が危険な団体ではないことを認め、ひかりの輪の観察処分をいったん取り消した2017年の東京地裁の判決〈12ページ参照〉を支持し、公安調査庁の見解を否定する報告を正式に発表されています。

(1)鎌田東二氏

  (上智大学グリーフケア研究所特任教授・京都大学名誉教授/宗教哲学・民俗学)

 鎌田氏は、多数の研究論文・著作・メディア出演で著名な宗教哲学者です。

 長年オウム真理教研究を行い、宗教学上の魔境の概念でオウム真理教・麻原彰晃の闇をひも解いた「呪殺・魔境論」など刊行しています。

 ひかりの輪に関しても、その発足以来10年に渡り調査・研究。現在、優れた宗教学者多数が参加する「身心変容技法研究会」の代表研究者であり、所属する上智大学グリーフケア研究所の所長は、オウム真理教の研究でも知られ、日本の宗教学者のトップともいわれる島薗進氏です。

 鎌田教授は、以下の論文で、長年の広範な調査研究の結果として、ひかりの輪の思想の健全性を認め、ひかりの輪の観察処分を取り消した東京地裁判決を支持し、公安調査庁の見解を否定する論文を発表されています。

(前略)公安調査庁も公安審査委員会もそうした表現を言葉だけ、口先だけの欺瞞であると見て、観察処分の必要を主張している。

 オウム真理教とその後のアレフとそこから独立したひかりの輪のそれぞれの思想と行動と活動を仔細に吟味し、比較していく必要があるが、それについては今後も継続考察していくとして、小論を締め括るにあたって、最後に、上祐史浩とひかりの輪が辿った分派独立の過程を「麻原隠し」と見るか、「麻原離れ」と見るかについては、私は後者だと見ている。

 それがこの十年間のひかりの輪の思想表現や活動を見ての結論である。

 ひかりの輪の教本に一貫して表現されているのは狂信的なカルト宗教に対する慎重な態度と距離と批判的な吟味である。

 そこにはオウム真理教事件が引き起こした諸問題を深刻かつ真剣に反省的に捉え、混迷する時代の中での一人ひとりの生き方や内省・自己省察と自然理解・自然体験をベースにした人生哲学を学ぶ場であろうとしている。

 それは一種の「人生道場」的な集いと研鑽であるが、それはオウム真理教事件後の反省に基づく抑制とバランスの取れた見方と主張であり活動である。

  それを「麻原隠し」と断定する根拠はない。

 この点で、私は東京地裁の判決を支持する。ひかりの輪を観察処分が必要な公共の安全に脅威を与える危険な団体と見なさない。

 むしろ、ひかりの輪は、教本のみならず、さまざまな活動において、思想的にオウム真理教の危険性と問題点を自己反省的・総括的に批判し、そこからの離脱と距離を繰り返し確認しようとしている。

 また行動的にもオウム真理教が陥った自己肥大・自己幻想・自我のインフレーションの陥穽に陥らないように注意深く自己観察や自己抑制することや社会的公共性や信頼性を確保することを強調している。

 その方向性と指針に従って自己抑制と自己吟味を重ねながら地道に行動し活動を続けている。そこに「公共の安全を脅かす危険性」を見出すことはできない。

 内においては聖地巡礼や修験道の実践を通して、「六根清浄、懺悔懺悔」を内観浄化し、外においては、「外部監査委員会」を設けて外部の有識者の吟味検証を定期的に受けている。(中略)もちろんそれが逸脱することのないように見守ることが必要であるが、本身心変容技法研究会は、「外部監査委員会」とは異なるところで、オウム真理教事件後の諸問題についてさらなる探究と吟味と情報公開を伴う社会還元を行っていきたいと考えている。

(「身心変容技法と霊的暴力――オウム真理教とひかりの輪の身心変容技法」より)

 

(2)大田俊寛氏

  (埼玉大学・宗教学博士)

 大田氏は、新進気鋭の宗教学者であり、近年出色のオウム真理教研究とされる「オウム真理教の精神史」(春秋社)の著者です。ひかりの輪に関しても、その教材・資料のほとんどを精査するなど、その広範な調査・研究は他の追随を許さないものがあります。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程を修了し、グノーシス主義の研究でも著名です。

 大田氏は、2014年、ひかりの輪の外部監査委員会(当時の委員長は河野義行氏・元長野公安委員・松本サリン事件被害者遺族)の要請を受けて、それまでの深く広範な調査・研究に基づいて、団体の思想・活動に観察処分に値するような危険性があるか否かに関して、意見を同委員会に提出されました。

 結論として、ひかりの輪は、オウム真理教の教義・活動の中で事件の原因となった危険な要素に対して十分な対処しており、その意味で危険な団体ではないとして、公安調査庁の見解を否定しました。また、2017年にも再び、同じ趣旨の意見を発表されています。その詳細は、大田氏のインターネットサイトで明らかになっています。

 また、大田氏は、月刊誌『atプラス13号』(太田出版)誌上で、上祐代表と対談した後、次のように述べています。

 
 私が上祐氏の態度や発言から強く感じたのは、「上祐氏はどうして逃げずに、ここまで持ちこたえることができたのだろうか」ということであった。(中略)

 上祐氏は、元オウム幹部としてはほぼ唯一教団に残り続け、分派という形にはなったものの、麻原信仰からの脱却の必要性を主唱し、オウムとは何だったのかという問いに真摯に向き合い、被害者への賠償に積極的に取り組むことを明言している。

 また、明確な方向性を見出せないまま麻原信仰に回帰しようとしているAlephの現状について、いくつもの重要な警告を発している。(中略)

 上祐氏は現在、その立場ゆえに批判や非難を受けることも多いが、それはすなわち、氏がオウム事件の責任に応答する主体として、誰よりも正面に立ち続けているということを意味するものだろう。

 私は少なくともこうした点において、現在の上祐氏を評価したいと考える。

(『atプラス13号』「対談を終えて ひかりの輪と日本社会のこれから」より)

4,報道関係者・ジャーナリストによる評価


 また、以下のように、報道関係者、ジャーナリストによっても評価されています。


(1)田原総一郎氏(ジャーナリスト)

 ◎ひかりの輪は、宗教じゃないよ。

 麻原彰晃をいまでも信仰してるアレフは宗教です。麻原を一番の神として。
 彼(上祐史浩)がやっている、オウム・麻原を全面的に批判するひかりの輪は宗教じゃないんですよ。
 麻原を批判し、オウムを批判し、人間とはいかに生きるべきか(を学ぶもので)、どっちかというと、哲学に近いのね。ひかりの輪っていうのは。
 上祐さんは、宗教の怖さを身をもってよく知ってる。
2013.06.21放送「田原総一朗のタブーに挑戦! アベノミクスは成功するのか?」 田原総一朗、上祐史浩との対談について語る、から) 

◎(上祐代表との対談書籍『危険な宗教の見分け方』(ポプラ社)の発言)

   地下鉄サリン事件のような無茶苦茶な犯罪を犯したオウムから抜け出すのに、なぜ7年もかかったのか。その苦労と悩みと努力がとてもリアリティーがある。
  (2013年1213日 田原総一郎氏twitterより)

 (2)有田芳生氏 (ジャーナリスト・元参議院議員)

 ◎(上祐氏の書いた「オウム事件17年目の告白」の原稿の)目次を見て驚いた。
 すぐに哲学者フリードリッヒ・ニーチェの言葉が心に浮かんだ。
 「脱皮することのできない蛇は滅びる。」(中略)
 この目次の項目が具体的に説明されているならば、上祐史浩氏は「脱皮」あるいは「脱皮しつつある」 のかもしれない。
 一気に原稿を読み終えた。(中略)
 そして、対談では私が指摘した疑問に上祐氏は具体的に答えている。
(『オウム事件 17年目の告白』の「特別検証」寄稿より)

 ◎本書を読み、今日のお話も聞いて、上祐さんや周りの人たちが大きく脱皮しつつあることはわかりました。(『オウム事件 17年目の告白』の「検証対談」より)

 ◎地下鉄サリン事件などを「内部」からどうみていたか。
 はじめて知ることばかりでした。
 カルト対策としても意味ある告白だと思います。
(『オウム事件 17年目の告白』の感想:有田芳生氏twitterより)

◎人間っていうのは変わりうるものだと僕は思ってますから、(中略)
 この17年間(上祐さんは)ここまで変わったかっていう印象がものすごく強いんですよ。
 で、番組でも言ったけども、自分の父親とか母親のことについてですね、彼が普通なら語らないようなことまで書いているんですよ。
 その心境の変化っていうのは、やはり変化として認めておかなければいけないというふう思うんですよね。
(そこまで言って委員会「辛坊たまらん」(読売テレビ)での発言より)

(3)ジャーナリストA

  雑誌の特派員としてフランスに長期にわたって滞在した経験を持ち、フランスに関する知見を有するジャーナリストA氏が、1年近くにわたって取材目的のためにひかりの輪の活動に参加して執筆し、公的機関に2011年末に提出した意見書で、A氏は、フランス議会が定めたカルト基準に照らしても、ひかりの輪はカルトとは言えないと結論づけています(意見書全文は、https://joyu.jp/hikarinowa/voice/01_2/0143a.html)。

「最後に結論めいたものになりますが、セクト(カルト)規制が厳しいフランス共和国の基準に鑑みれば、ひかりの輪はセクト(カルト)の概念・構成要件からはかけ離れているといえます。」(A氏)

5,その他の識者による評価

 
(1)下條信輔氏(認知心理学者・カリフォルニア工科大学生物学部教授)

◎上祐代表著『オウム事件 17年目の告白』を読んでの感想

 オウム事件関係の類書の中で「もっともよく整理され」「もっとも深く突き詰めている」と評価が高い。事件の経緯についていくつもの新事実が語られているが、何と言っても麻原と若い信者たちの心理を、内側から分析したのが出色だ。(中略)筆者はといえば、かねてから抱えていた謎を解く、大きなヒントを本書から与えられた。インパクトが大きかったので書き留めておきたい。(中略)

 麻原オウムの過ち、自らを含む信者たちの妄信の過程。それらについての本書の記述は、率直な告白と受け取って良いのではないか。というのも上祐から見れば、それが極端化したのがアレフだからだ。要するに現在の上祐は、アレフの中のオウム的なものを糾弾し、光の輪との違いを際立たせたい立場にある。(中略)

 今「麻原オウムの過ち、自らを含む信者たちの妄信の過程」と書いた。これらの点については、優れた知性が全力を挙げて解明せんとした痕跡を、少なくとも筆者は認める。(「WEBRONZA」朝日新聞社より)

 (2)鈴木邦男氏(思想家・著述家・政治活動家)

 上祐さんは、あれだけの事件に遭遇し、その後も贖罪を背負いながら必死に生きている。その姿には心打たれるものがある(中略)。
 「ひかりの輪」のHPを見せてもらったが、凄い。充実している。
 これを見ただけで、上祐さんの考えが分かるし、ヨガも出来る。又、「聖地巡礼」も出来る。 ヨガや、仏教の素晴らしい点は、どんどん取り入れて、修行している。
 完全に麻原色は脱却している。
 オウムの時なら、「他の宗教はニセモノだ!」と言われ、神社やお寺に行くなんて考えもつかなかった。(中略)
 でも、逮捕され、苦しみ、地獄を見たのだろう。
 大きく脱皮していた。
 実にバランス感覚のある人になっていた。 誠実だと思った。
 過去のことも謝罪し、反省し、そして今も自分を戒めている。
 謙虚な宗教家だと思った。 凄い体験をした。修行もした。
 「世界史的大事件」を体験したのだ。 その中で知ったことも多い。
 何が間違いで、何が正しいかも知った。
 優秀な人だし、「宗教」として、大きくするノウハウも知ってるだろう。 「宗教家」として大成する道も知っているだろう。
 しかし、それを敢えてやらない。
 自分が傲慢にならないように自戒している。
 宗教家として厳しく戒めている。
 これはなかなか出来ないことだと思った。
 そこまで自分を責めなくてもいいだろう、と私などは思った。
 もしかしたら、一般の宗教という概念を超えたものを目指しているのかもしれない。 そんな感じがした。(鈴木氏のサイトより)

(3)平野悠氏(事業家・ライブハウスロフトグループ創始者)

 ◎ 先日のライブハウス「ネイキッドロフト」での4時間にも及ぶ討論(?)で、上祐氏が出す衝動波の残像が凄すぎて、次の日の夜、立ち上がれず、突き動かされるように4時間も世田谷界隈を歩き、疑問を自分に問いかけながらただ愚直に歩き続けたのだった。
 上祐史浩氏のあの波動はなんなのか?自己内部で消化するにはしばらくかかると思った。
 上祐氏やオウムやアレフを脱会した出家信者に、あれから一体何があって、どんな修行体験を積んで、今があるのかを知りたいと思った。
 初めて会う上祐さんがとてもキラキラしていて、そこから出てくる波動というかオーラが、私を打ちのめすというか圧倒する感じになった。
 ひかりの輪ホームページを見るといかにひかりの輪がオウム事件の反省の上に成り立っているかが解ります。 (平野氏のツィッターより)

◎ 「この集団の目指すものは何か?」という疑問は、上祐代表の「立ち位置」で、それなりにすっきりした感じが残っている。
 オウム事件は、未だ市井の目が許していない。この孤立無援の新しい目的を持った集団はどこに行くのか、長い目で見守ってゆこうと思った。
 ある若い参加者と話した「なぜこの巡礼に参加を」「オウム事件から逃げないで今、この光の輪はあって、その苦境をどうやって克服しようとしているのかを肌で感じたかった」には胸がじーんと来た(「ひかりの輪と行く聖地巡礼同行記」より)

◎ さて上祐ひかりの輪はこれからどこへ向かって行くのか、全く新たな「輪の思想」を構築出来るのか興味はある。
 私自身も上祐さんとは数度対談し、ひかりの輪主催の「聖地巡礼」にも参加したことがあるので、今の上祐さんの「立ち位置」は信用していいと思っている。
(ブログ「Rooftop」レビュー2013)

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