オウム真理教の清算
オウム真理教時代の清算についてのコーナーです

オウム事件被害者への賠償

アレフへの再発防止処分の決定と、ひかりの輪の賠償努力の強化について
(2023年3月13日)

 本日(2023年3月13日)、公安審査委員会は、アレフ(旧オウム真理教)に対して再発防止処分を適用することを決定しました。

 アレフが、オウム事件被害者への賠償金の支払いを逃れ、公安調査庁への報告を履行せず、寄付の受領と施設の使用を禁止する再発防止処分が適用されることにより、被害者賠償の遅れが強く懸念される状況になったことを受け、当団体「ひかりの輪」は、被害者賠償の停滞を少しでも和らげるために、2009年に被害者団体と締結した賠償契約の履行に関して、今後は、契約上の義務である年間の賠償額を上回る額をお支払いして、賠償金支払いを増額するため、あらゆる努力を尽くしたいと考えております(※2023年7月追記:本年3月以前は毎月25万円ずつのお支払いだったところを、3月以降は毎月50万円ずつに倍増させる努力を続けております)。

 また、ひかりの輪の創設メンバーは、16年前の2007年にアレフを脱会・独立して以来、アレフ信者の脱会支援を行ってまいりましたが、アレフの活動を大幅に規制する今回の再発防止処分の適用を受け、脱会支援活動をいっそう深めたいと考えております。


※参考:関連事項の説明

1.ひかりの輪について

 ひかりの輪は、宗教団体ではなく、仏教思想や心理学などを学ぶ学習教室で、2007年に、アレフ(旧オウム真理教、2000年にアレフに改名)を脱会した者たちが、オウム・アレフに対する反省・総括のもと、創設しました。現在学ばれている方は、元オウム信者ではない方の方が多くなっています。

 また、ひかりの輪はその創設の過程において、「脱麻原・脱オウム」「反麻原・反オウム」の団体改革を行っており、下記のようにオウム事件の被害者賠償やアレフ脱会支援活動を行ってきました。

2.ひかりの輪の賠償契約の締結と履行

 ひかりの輪は、アレフと異なり、麻原・オウムの教え・教材などは一切使用していませんが、将来にわたってオウム事件の反省を続けるための証として、2009年に被害者団体(オウム真理教犯罪被害者支援機構)と賠償契約の締結に至り、それ以来、その義務を履行してまいりました。

 ひかりの輪と被害者団体の賠償契約において義務付けられた年間の支払い額は300万円であり、加えて、契約に記載された努力目標が800万円とされており、今後は800万円を目標に賠償金支払いを増額していく予定です。このような契約内容になった背景はこちらの記事をご覧ください。 

 なお、オウム事件の賠償は、2000年にアレフが、2009年にひかりの輪が、それぞれが被害者団体と契約しており、そのため、双方が共同して、賠償債務全額を負っている形になっています。そのため、今後アレフが賠償の拒絶を続ける以上、ひかりの輪のみが賠償契約を履行する結果となります。

3.アレフの賠償拒絶と再発防止処分の適用に至った経緯

 アレフは、2000年に被害者賠償契約を締結しましたが、後のひかりの輪のメンバーが脱会した2007年の後、2008年頃から、賠償履行について被害者団体への非協力的な姿勢が強まり(公安調査庁が主張するいわゆる「麻原回帰」)、オウム真理教犯罪被害者支援機構を相手とした賠償契約の更改に応じず、その後は以下のような経緯をたどりました。

 2012年、同支援機構が東京簡易裁判所に調停を申し立てましたが不調に終わり、2018年に同支援機構が東京地方裁判所に賠償支払いを求めて訴訟を提起しました。また、2018年からアレフは、2017年までは額に不足があるとはいえ続けていた被害者団体(ただし、被害者支援機構ではなく、サリン事件等共助基金)への支払いを停止しています。

 その後、2020年末までにアレフに対する賠償支払い命令が最高裁でも確定しましたが、支払いを拒否したため、同支援機構が賠償金の強制執行による回収を行いましたが、資産の所在・名義の問題等で困難を極め、大きな問題となりました。

 その後、団体規制法に基づいてアレフが公安調査庁に報告することが義務付けられている資産等の情報を、被害者団体からの求めに応じて公安調査庁が開示したところ、アレフは開示を違法と強弁して批判し(実際は合法であるどころか、むしろ情報提供する義務がある)、それを契機として、公安調査庁に対して資産等の大半を報告しないという事態に至り、多少の紆余曲折があったものの、今回の再発防止処分の適用を受ける結果となりました。

 なお、アレフは被害者団体への支払いをそもそも「賠償」と呼ぶことを避けて、「補償」と呼んでいます。補償とは「違法行為でない適法行為や天災などによって他の人に与えた損害などを金銭などで補い償うこと」を意味し、賠償とは趣旨が異なるものですが、2000年に締結されたアレフと被害者団体の契約(やその後の関連文書)には、賠償契約であることの趣旨が明記されています。

4.アレフの裏での詐欺的な教化活動

 アレフは、正体を隠したヨーガ教室などの勧誘を行い、その中で、オウム事件は陰謀である(本当は無実であるオウムが犯人であるかのように見せかけた陰謀)という虚説を吹き込み、地獄転生を含めた輪廻思想や、グル(霊的指導者)の必要性などを説き、若者を中心として多くの新しい信者を獲得してきました(その手法の詳細は、こちらの記事をご覧ください)。

 すなわち、アレフ教団の広報部は、オウム真理教が一連の事件に関与したことを認めつつも、実際にその布教活動では、関与を否定する陰謀論を説いて、裏表を使い分ける活動を続けています。こうしたことからも、アレフはまともに賠償を行う気持ちがなく、依然として、一連の事件への関与を否定した麻原に帰依・服従する姿勢であることが明白です。
 なお、これらのアレフの活動は、特定商取引法違反(正体隠し)などで、摘発されることが繰り返されています。

5.アレフとひかりの輪は全く別の団体であること

 
両団体に組織的な関係は一切なく、この事実は2017年の東京地裁判決で認定されており、その後、最高裁までこの認定は維持され、確定しています。

 なお、その後の東京高裁判決で逆転したものの、この東京地裁判決では、ひかりの輪に対する団体規制法に基づく観察処分を取り消す判決もいただいています。

 また、ひかりの輪とアレフの団体の組織・活動が大きく異なる点に関しては、こちらの記事をご覧ください。

 加えて、2022年に米国務省は、もはや「テロの意思も能力もない」として、オウム真理教を外国テロ組織から解除しており、ひかりの輪では、同様の認定を日本政府・公安調査庁に求めて、現在訴訟を行っています。

6.ひかりの輪のアレフ信者脱会支援活動

 ひかりの輪は、「アレフ問題の告発と対策」というサイトの運営と、各地区の教室単位の脱会の相談・支援などを行っており、これまでに200名ほどのアレフ信者の脱会を支援してきました。

 今後は、アレフの出家信者などが、脱会後の生活に困難を感じることを和らげるために、脱会者向けの国の生活保護給付や住居支援サービスなどの関連情報発信にも力を入れていく所存です。

7.脱会した元オウム信者の方への賠償金支払い協力の要請

 この機会にあらためて、元オウム信者の皆さん(特に1995年以前に教団に所属した者)に、賠償金支払いの協力を求めたいと思います。

 特に、95年の地下鉄サリン事件等の一連の事件発生までは最高幹部であり、オウム関連事件で刑事責任を負って受刑したような人達でも、これまでに全く賠償を行っていない人達が存在します。アレフによる賠償が半ば絶望的になった現状において、被害者賠償の停滞を防ぐために、ぜひ協力していただきたいと思います。

 これまでの賠償は、最高幹部はおろか、事件当時は出家信者ではなく在家信者だった者や、事件以降にアレフに入会した人達、さらには、ひかりの輪の2007年の設立以降に活動に参加した人達の負担によって行ってきました。

 また、麻原の家族の中には、アレフを裏から支配しており、ひかりの輪のメンバーが2007年にアレフを脱会して以降、アレフが被害者団体と対立するようになったことに対して、仮にそのように指示していなくても、それを回避するように指示することができる十分な権限がありながらも、そうしなかったという意味で重大な責任がある者がいます。

 その中には、依然としてアレフを裏から支配している者達と、2014年前後にアレフ組織への関与を離れた者もいると思われますが、いずれにせよ、2008年以降のアレフの被害者団体との対立には、やはり責任があることには違いがなく、今後は賠償促進に貢献すべきだと考えます。

 また、公安調査庁が、いわゆる「山田らの団体」と呼ぶグループは、2015年前後に、それまではアレフの金沢支部であったものが、アレフを離脱して独立したものですが、行っている活動はアレフと全く変わりがありません。麻原時代の信者や、麻原の教え・教材によってその収益を得ており、アレフを離れたからといって、賠償責任がなくなるとは思われず、賠償促進に貢献すべきだと考えます。

8.賠償と再発防止処分の関係と、今後のアレフへの要請

 そもそも団体規制法が導入されて、団体に活動の報告をさせるとともに、団体に立入検査を行う観察処分が開始された2000年の時点で、アレフは賠償契約を締結しています。

 入会勧誘・寄付受領・施設使用などを禁止して教団の活動を大幅に規制する再発防止処分が、昨年までの22年間適用されずに、観察処分にとどめられていた背景に、2000年に締結された賠償契約があったことは、その当時の被害者賠償を担当していたオウム真理教破産財団の破産管財人から伝え聞いております。

 言い換えれば、賠償支払いをせず、被害者団体に契約上の財務報告をせず、公安調査庁に団体規制法上の報告をしないのであれば、今日の再発防止処分の適用を招いた可能性があったことは、20年以上前から明らかなことでした。今後もアレフが行動を改めることなく、十分な資産等の報告と賠償金の支払いを行わなければ、今回の処分が期限となる6か月後も、処分が繰り返されるものと考えられます。また、アレフの施設の一部の使用や、入会の勧誘、新たな施設の取得は、今回の処分では禁止されてはいませんが、アレフの報告の不履行状況を見るならば、それらの追加禁止も、十分に法的には可能だと思われます。

 よって、アレフ教団に対しては、この原点に立ち戻って、速やかに改心し、報告と賠償支払いを再開することを強く要請します。

9.今回の発表に至るまでの経緯

 ひかりの輪は、2009年以降、団体をとりまく依然として厳しい社会状況と財務状態の中で、賠償契約の義務を履行してきました。その一方で、アレフは、上記でご説明した通り、その詐欺的な教化と麻原の教え・教材を用いて、多くの新しい信者を獲得し、高額の寄付を受け取るなどして、ひかりの輪に比較して、団体と資産の規模で大きく上回りました。

 アレフは、残りの賠償債務(2019年時点で約10億3千万円)を完済するに十分な資産があるにもかかわらず(公安調査庁によれば、同年時点で12億円以上の資産があることをアレフは同庁に報告)、十分な賠償支払いを怠り、2018年以降の5年以上は、全く行っていません。

 以上のことは、公安調査庁が刊行した年次報告書『内外情勢の回顧と展望』(令和2年版)の記述からも明らかです。以下の図は、同書の64頁に掲載されたものですが、左のグラフはアレフの「保有資産と1年ごとの賠償額」、右のグラフはひかりの輪の「保有資産と1年ごとの賠償額」として同庁が発表したものです。

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   アレフの保有資産と1年ごとの賠償額    ひかりの輪の保有資産と1年ごとの賠償額


 このように、アレフが、ひかりの輪に比べて巨額の資産を有していること(なお、グラフの縦の目盛の単位は、アレフが「億円」で、ひかりの輪が「千万円」であることにご注意ください)、それにもかかわらず、アレフの賠償金の支払いがごくわずかにとどまってきたこと(2018年=平成30年以降は皆無であること)、その一方、ひかりの輪が資産が少額の割に賠償金をお支払いし続けてきたことが、公安調査庁の資料からもおわかりいただけると思います。

 ひかりの輪としては、従前は、アレフの支払いによって賠償債務が早期に完済されることを期待もしていましたが、特に2020年末の最高裁での賠償支払い命令の確定後もアレフが支払う気配を一向に見せない中で、徐々にひかりの輪単独で残債務を背負っていく事態が発生する可能性を感じるようにもなり、団体財務の強化と賠償支払いの増額のための検討を様々な関係者の協力も得て行ってきました。

 そして、今回ついにアレフに再発防止処分の適用がなされる事態となったことを受け、これまで温めてきた賠償支払いの改善策を本格的に実行する運びとなりましたので、今回の発表に至りました。

付記

上記の賠償支払いの新たな強化努力の初めとして、2023年3月からは、従来の毎月の賠償支払い額(25万円)の倍の額(50万円)を支払わせていただいております。

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