【10】公安調査庁による「麻原隠し」の主張の誤り
(2019年2月28日)
公安調査庁は、「ひかりの輪」のことを、麻原が逮捕後に出した"獄中メッセージ"に基づいて設立された、麻原信仰を隠した「別団体」(麻原隠し)と主張しています。しかし、以下のとおり、その主張は事実に全く反しており、しかも、自己矛盾をはらむ破綻した論理です。
その前に、公安調査庁自身が認めるように、オウム真理教の教えの中核である「麻原への絶対的な帰依」とは、「弟子が自分の考えなどを一切含めず、麻原の指示の言葉通りに行う」ということが大原則です。そのために、殺せと言われれば殺すということで、一連の事件が起こったのです。
しかし、別団体に関する麻原の獄中の指示は、1996年のものであり、その当時、麻原は破壊活動防止法(破防法)がオウム教団に適用されると思い、その対抗策などとして出された指示です。よって、破防法が適用されなかった1997年以降の状況では、そのメッセージによって別団体を行うことは、同じように団体が潰される可能性がなければ、麻原の指示に従ったものとは解釈できません。
なお、細かい話になりますが、2000年の団体規制法の導入時に、「団体規制法が導入され、観察処分が開始され、それに基づいて、すぐにでも再発防止処分(解散とまではいかないが、それに近い状態となる処分)がかかるのではないか」と思われた時期が短期間ながらもありましたが、その後、被害者賠償契約を締結することになって、その危機が去ったため、それ以降は、破防法(またはそれに準ずる解散の危機)を前提とした別団体に関する麻原の獄中メッセージに基づいて別団体を行うことは、麻原への帰依に反すると解釈されるものです。
また、麻原の別団体の指示は、いろいろとありますが、その内容を見れば、現在の「ひかりの輪」とはかけ離れていることがわかります。そのために、麻原を絶対と考えるアレフは、上祐らがアレフを脱会する以前から、上祐らの行動は公安調査庁が主張する「麻原隠し」ではなく「麻原外し」(グル外し)だと批判してきました。
さらに、この獄中メッセージは、2000年の時点で、警視庁の強制捜査で押収されており、公安調査庁はおろか、テレビでも放映されたことがあって、その意味で、これを実行しても、とうてい「麻原隠し」にはなりません(「麻原隠し」であることが明らかだから「麻原隠し」にならない)。言い変えれば、麻原の指示通りに行うのが麻原への帰依であるところ、麻原の指示に基づいた麻原隠しは効力がなく、麻原に帰依した「麻原隠し」などはないということです。
よって、この獄中メッセージを前提にすると、
①アレフのように、麻原への帰依を取って、麻原隠しを捨て、
麻原が許していない被害者賠償を拒否し、事件の関与を認めず
に陰謀論を布教し、麻原同様に、社会と対決する方向に行くか、
②「ひかりの輪」のように、麻原への帰依を捨てて、
麻原の指示に基づかぬ、脱麻原に向かうか、
という二つの選択肢しかないのです。
公安調査庁の主張・証拠にだけ基づいて考えても、この結論が必ず出ます。しかしながら、公安調査庁が獄中メッセージに基づいて「ひかりの輪」を「麻原隠し」と主張するのは、自己矛盾をはらむ破綻した論理です。何が何でも観察処分更新という気持ちから、自己矛盾・混乱に陥っていると考えられます。
ここでは、以上の点に関して、順に詳しく説明します。
1,「ひかりの輪」が麻原の教えや指示に著しく違反し、麻原への帰依を捨てたという根拠のまとめ
まず、最初に、「ひかりの輪」が、麻原の教えや(獄中からのものを含めた)指示に著しく違反し、麻原への帰依を捨てたということができる根拠をまとめて示したいと思います。以下が麻原の教え・指示に対する重大な違反点です。
(1)重大な違反点1.麻原の指示していない名前・形・中身の別団体
①「ひかりの輪」という名称
⇔麻原の指示では、新しい団体の名前は、「アレフ」か「アー」に限られます。
なお、「アー」という名前の団体は、オウム真理教の「アー」とされ、
オウム真理教とは違う団体は、「アレフ」ということになります。
※なお、現在のアレフも、オウム真理教ではないと主張しています。
②宗教ではなく哲学教室(特定の神仏・人物を崇拝しない)
⇔麻原の指示では、シヴァ大神の別名の尊格を掲げ、中身を変えず、
衣替えした、別の宗教団体とするように指示されている。
※なお、これはアレフの覆面ヨーガ教室とよく似ています。
(2)重大な違反点2.麻原に対する批判
「ひかりの輪」は、その講話、教本、書籍出版、テレビ出演、講演などで、上祐らが、様々な麻原・オウム・アレフ批判(反省)をしています。
⇔麻原の教えでは、グルの批判は、無間地獄に落ちる大悪業とされており、
麻原の獄中メッセージでも、麻原・グルを批判してよいというものは
一切ありません。
「麻原隠し」に加え、麻原批判を認めるものは一切ありません。
(3)重大な違反点3.アレフ信者の脱会支援・入会防止・違法行為の摘発
「ひかりの輪」は、アレフ信者の脱会支援・入会未然防止、さらには、賠償契約の不履行や(現在被害者団体が所有するオウム真理教の著作物の無断使用である)著作権侵害などのアレフの違法行為の摘発に協力しています。
⇔麻原の教えでは、これは、教団の分裂、真理の否定と解釈されるもので、
無間地獄に落ちる大悪業とされています。
(4)重大な違反点4.出家制度の解消と開かれた団体への改革
「ひかりの輪」は、オウム真理教型の出家教団を廃止し、変わって専従会員制度を導入して、以下の活動を行っていますが、これがまた麻原の教えに反しています。
①親族等への感謝を育む教えや「内観」などの自己反省法の訓練
これは、親子問題がオウム事件の根源にあると考えたもので、この結果、
専従会員の親族との交流・介護、親族のための脱会が行われています。
⇔麻原の教えでは、出家が最高の道であり、出家を妨げる親との縁は、
悪縁・逆縁であり、絶つべきであり、そうしないことは地獄の道とされます。
親達を助けた坂本弁護士を殺害した原因の教えです。
②修験道等の他宗教・宗派の聖地、外部の識者からの学び
⇔麻原の教えでは、他宗教・宗派の聖地は、絶つべき地獄の道です。
よって、アレフは、上祐らの聖地巡りに強烈な批判・反発(と恐怖)を
示しました。
③全財産の布施の否定=個人資産の許容(生活費外の給料・不動産・遺産)
⇔麻原の教えでは、極限の布施(全財産の布施)が解脱の道とされました。
2.麻原の獄中メッセージの詳細
ここでは、破防法を前提とした別団体の可能性に関する麻原の獄中メッセージをご紹介します。
「別の宗教組織を作るようにという指示
逮捕される前からの指示として、
①(事件の結果、破綻するだろう)オウム真理教とは別の宗教団体を作る。
②例えば、シヴァ大神を大黒天と呼び変えるような、衣替えした団体にする。」
「教団をアレフとオウム真理教のアーと二つに分けるかどうかについては、
正大師や妻達と十分に話し合ってください。」
なお、別団体の話では全くないのですが、一部で、以下の麻原の獄中メッセージが、別団体(元の団体と合わせて二つの団体)を意味しているのではという間違った解釈がなされることがありますので、ご紹介しておきます。
「破防法に対しては、二つのグループに分かれ、
第1のグループは6人が一組になって、
内一人は、ステージではなく瞑想修行のできる人、
残りの内二人は瞑想修行が普通に出来る人、
残りの内3人は瞑想修行があまりできない人、
最後の一人は社会的に生きていけない人(=仕事ができない人)
を1チームとして、外的な仕事に5人が従事し、
ただし、しゃべらないでいい職業を選択し、仕事の時間も短く、
一人が月せいぜい10万円稼げばいいでしょう。
この6人が一つのファミリーとなり、教団の拡大活動は一切しない。
そして、次にあげる作業に没頭すべきです。ヴァヤビヤクンバカ、
グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーションの7つの詞章、グルヨーガ。
基本経典は6ヨーガで十分でしょう。
20組くらいを一単位として正悟師が管理する。
このグループを作れるだけ作る。
そして、6名の収入の内一人1万円を正悟師の生活費、
活動費として上納する。
第2のグループは、法的に徹底的に破防法と戦い抜く。
ただし、第1のグループは第2のグループの敗北が予想されるので、
敗北した場合に吸収ができるように準備しておく。」
また、下記のようなメッセージもありました。
「破防法適用だけでは教団はつぶれない。政治団体と宗教団体は違う。
教祖が存在する限りつぶれない。守るところを間違えるな。」
「小さな寺を作るよう言っていたのに、どうして作らなかったのか。」
「自分が予想したとおり事態は進んでいる。」
他にも、破防法への対策に関して、弁護士に質問している内容の中に別団体の可能性を探ろうとするものはありましたが、麻原が質問ではなく、明確に団体に指示したことは以上のメッセージだと思われます。
3.これらの獄中メッセージは「ひかりの輪」には当てはまらないこと
しかし、以上のメッセージが、「ひかりの輪」が麻原への絶対的な帰依を隠した「麻原隠し」であるという主張の証明にならないことは、以下の点で明確です。
(1)基本的にすべて破防法を前提としたもの
基本的にすべて破防法を前提としたものであるから、破防法の適用の可能性(またはそれに準ずる状態)がすでに存在しなくなっていた「ひかりの輪」発足の2007年には、これらのメッセージによって別団体を発足させることは、麻原への絶対的な帰依--すなわち麻原の指示の言葉通りに行動するものとはならないこと。
(2)ひかりの輪の現実・実態は、メッセージに指示された別団体とは遠くかけ離れていること
①上記の一つ目のメッセージ(別の宗教組織云々)に関しては、
「ひかりの輪」は、以下の点で、その内容とかけ離れています。
Ⅰ.メッセージにある別の宗教団体ではなく「哲学教室」
にまで改革したこと。
Ⅱ.メッセージにある大黒天を掲げず、さらには、
いかなる崇拝対象・祭壇も破棄したこと。
Ⅲ.メッセージにある衣替えではなく、思想・教義の中身を
大きく変えていること。
Ⅳ.このメッセージの中で前提とされているオウム真理教(アレフ)
の破綻が生じていないこと(アレフが存続していること)。
②上記の二つ目のメッセージ(アレフとアー云々)のメッセージに関しては、
「ひかりの輪」は、以下の点で、その内容とかけ離れています。
Ⅰ.アレフとオウム真理教のアーに分けるとされているように、麻原が許した
団体名の中には、このアレフとアーの二つしかなく、「ひかりの輪」という
団体名は許されていないこと。麻原が許していない(麻原の祝福のない)
団体名の団体を、麻原に絶対的に帰依する信者が行うことは非常に難
しい。
Ⅱ.アレフとオウム真理教のアーとされているように、アレフよりも、
よりオウム真理教的な団体がアーとされているが、現状では明らかに
「ひかりの輪」よりも、アレフの方が、はるかにオウム真理教的であること。
すなわち、麻原のメッセージでは、オウム真理教をアーとし、
オウム真理教とは別の団体をアレフとするという意味であること。
そして、実際に、現在のアレフ教団は、自分たちはオウム真理教とは
同じではないと主張しています。具体的には、麻原の教えは信奉
しているが、麻原を主宰者とはしていないとして、観察処分の審議
で観察処分の対象であるオウム真理教ではないと主張しています。
Ⅲ.メッセージでは、「正大師と妻達でよく話し合うように」とされていますが、
「ひかりの輪」の発足は、現在のアレフを裏から支配している
麻原の妻(達)や麻原の三女の正大師との話し合いの結果として発足した
のではなく、こうした麻原の家族が、上祐らの行動を麻原への帰依に反す
るとして激しく批判した結果、上祐らを追い出した面があり、この点は公安
調査庁も認めている周知の事実です。
(公安調査庁は、家族による「上祐外し」と呼ぶ)
Ⅳ.メッセージでは、話し合いによる団体の分割ですが、現在の
「ひかりの輪」はアレフ教団と以下のように闘っており、
分割ではなく、対立関係にあること。
ⅰ.麻原・オウム・アレフを繰り返し、様々な形で批判していること。
ⅱ.アレフ信者の脱会を広範に支援し、また報道機関とも連携し、
その勧誘手口を告発するなど、入会未然防止に努力をしていること。
ⅲ.被害者支援団体が進めているアレフの賠償不履行や、アレフによる
オウム真理教の著作物の無断使用(現在この著作権は被害者
団体に帰属しているので、著作権侵害の案件)の違法行為の疑いを
告発し、アレフの解体やオウム真理教の教材の使用禁止に向けて
努力していること。
③その他のメッセージ(二つのグループに分けるとか、寺を作る)については、
詳しく解説する必要がないほど「ひかりの輪」の現実と異なっていることは明白
なので、説明を省略します。
4,麻原の獄中メッセージは破防法を前提としており「ひかりの輪」には当てはまらないこと
これらのメッセージが、1996年のものであって、その当時、破防法が適用されると思われる状況を前提にしており、2007年の「ひかりの輪」発足以降の状況に当てはまるものではないことは、すでにご紹介したメッセージにからも一部理解できると思いますが、当時の麻原が、破防法が適用されると思っていたことがわかる獄中メッセージをもう一つご紹介します(一部、個人名は伏せ字にしています)。
◆96.6.19
(前略)・昨日の◎◎先生との話で打ちひしがれている
「破防法適用されるだろう」と言われた → 夢で見る
(後略)
次に、麻原が、1995年の10月のある段階で、破防法の適用請求は困難かと報じる朝日新聞の報道を見て、破防法が適用されないかもしれないと思った時には、それまで許可してきた(逮捕される前の上祐が主導した)社会融和路線(破防法を回避するために宗教法人を自主解散するという考え)を一転して否定したことがわかる、獄中メッセージを紹介します。
なお、多少複雑な話となりますが、この報道の2カ月後に、上記報道に反して、実際には公安調査庁によって破防法適用請求がなされました。そして、麻原が破防法適用を前提にしたメッセージを出すことになります。しかし、最終的には、その約1年後に、破防法の適用請求は公安審査委員会によって棄却されました。
○自主解散について
初めに10/13付、10/14付朝日新聞の記事を伝えた。
自主解散は上祐が提案してきたから、上祐の判断が正しいと思い
了承した。(外にいるものしかわからないと思ったから)
しかし上祐も中に入っており今は自主解散については良いとは言
えない。(自主解散宣言はやらない。もう一度考え直せ!)
○10/16
ジョウユウの方針はいかん。
もっと強い態度で教団の運営管理にあたるべきである。
上九から引き上げるようなことは絶対にいけない。
(上祐が行っていた)ソフト路線などは一切してはいけない。
崩壊に追い込むために益々追い打ちをかけて攻撃してくる。
自主解散はずっと後のオプションとしては考えてもよいが、
すぐ発表すべきではない、とジョウユウに伝えていたはず。
警察や公安への陳情など何の効果もない。
教団からジョウユウの色を消すように
このようにして、破防法適用の危機が去ったと見た麻原は、社会融和路線をとった上祐を非常に激しく批判したのです。
最後に、1997年の1月31日に破防法適用請求は棄却されましたが、その前後に、麻原が不規則発言を始めて、その後は弁護士らとも面会せず、獄中メッセージが途絶えることになる経緯(予兆)がわかる内容の弁護士の接見記録(獄中メッセージを含む)紹介します。
◆97.1.8
(前略)委任状の印も押してくれなかった。
12月27日・1月6日に◎◎弁護士が会おうとしたが
尊師は接見を拒否された。
◎◎弁護士が委任状を看守に渡して読んでもらった。
尊師「結構です」とおっしゃって拒否。
◆97.1.28 ◎◎先生接見
手紙を読むも、全部聞かず、受け取りを拒否される。
尊師との会話は半分しか成立せず。
(中略)
突然「今いるのは◎◎先生じゃない。前の◎◎先生じゃない。
前の◎◎先生に会いたい」
--「◎◎ですよ。わかりますか。◎◎ですよ。」
--「ああ前の◎◎先生が少し戻ってきた。」
・「今11月ですよね。」
--「今日は97年の1月28日ですよ。」
--「それは違う。わたしをだまそうとしている。
公安調査庁はわたしをだまそうとしている。」
・結論を伝え、委任状を読み上げる
「副代理人は認められない。日本にそういう制度はない。
◎◎に伝えてくれ。副代理人は抜いてくれ。削除したら作る。」
・「これからはがんがん接見に応じる。」
・「今日は96年の11月30日ですね。そうでないとダメですよ。
わたしは憲法と法律に従った時(徳?)の
流れにしか興味がないんです。」
※話をするときは明瞭(以前と同じ)。
独り言をいろいろとおっしゃっている。
意識がいろいろなところに飛ぶ感じ。
◆97.2.3 ◎◎先生・◎◎先生・◎◎先生接見
(前略)
・「最後に伝えてほしいことはありますか?」
--あんまりこうだという話にはならなかった。
※話の前提として、精神状態が安定していない。一人で問答をしている。
小さな声でぶつぶつ言っている。
話の途中で自分の世界に入っていき、
コミュニケーションができなくなって引き戻す。
こちらに戻ってくる時間は長続きしない。
ただし1月28日よりはいい。
5.ひかりの輪は、麻原に無許可で、麻原の教義では大悪業になる行為を行っていること
すでに述べたように、「ひかりの輪」は、麻原の指示・許可なく、麻原の教義では、大悪業とされる行為を数多く行っていますが、ここでは、麻原の説法によって、それがいかに大悪業とされているかをご紹介します。
(1)麻原(グル)への批判
「ひかりの輪」は、前記の通り、麻原・オウムを団体内外で出版物まで出して繰り返し批判していますが、それは、麻原・オウムの教義では、以下の通り「無間地獄」という最悪の地獄に落ちる大悪業になるとされています。
○11.もしあなたが愚かにもグルを軽蔑するようなことがあれば、
伝染病にかかり、有害な霊によって引き起こされる病にかかります。
また、悪魔・ペスト・毒によって悲惨な死に方をするでしょう。
(中略)
14.超期間地獄、つまり痛みが終わることのない地獄等の恐ろしい地獄
のことが教えられるときには、グルをさげすむ者は長い間、の地獄に
とどまらなくてはならないとはっきりと説明されています。
(オウムの教本『グルへの帰依の五十の詩』より)
○わたしに対して仇なした者たちはすべて、
無間激苦地獄へ落ちることは間違いない。
(麻原説法 94/3/12 大阪支部にて)
○一人の聖者を冒涜したり、あるいは謗ったりすると、
経典に書かれているように、
激苦地獄への運命を歩かなければならないのである。
(麻原説法 94/3/13 大阪支部にて)
(2)アレフを批判し、アレフ(麻原)信者の脱会支援をしていること
「ひかりの輪」は、前記の通り、麻原の信者を増やそうとするアレフを広範に徹底的に批判し、アレフ信者の脱会を支援していますが、麻原・オウムの教義では、麻原の教団の批判をすることや、麻原が説く真理から離れること(他者を引き離すこと)は、大悪業となるのです。
○今、日本においてオウム真理教は徹底的なサンドバッグの状態になっている。
(中略)
オウム真理教に対する彼らのバッシングの狙いは、
オウム真理教を崩壊させること、(中略)
日本を動かしている人たちが、
大悪業のぶどうの房をどんどんつけることであると。
そして、それは必ず落とし、ぶどう酒にし、返さなければならない。
(麻原説法 90/3/11 富士山総本部にて)
○今回の国家権力による弾圧は、それはちょうど、
イエス・キリストを弾圧したユダヤが、その後流浪の民となったように、
この日本に大きな大きな災いがふりかかることだろう。(中略)
このような弾圧をやめないと、この日本はとんでもない悪業の蓄積をなす
ことになるだろう。(麻原著『亡国日本の悲しみ』より)
○真理から外れるならば、当然、この欲六界の構成というものは、
地獄優位の世界ですから、地獄に落ちることは間違いないでしょうと。
(麻原説法 89/2/2 富士山総本部にて)
(3)アレフ教団の分裂や解体の努力をしていること
「ひかりの輪」は、その発足前に、麻原を絶対とする現在のアレフの信者と分裂し、さらには、アレフ教団を解体する結果をもたらす著作権侵害問題の摘発に協力していますが、これも、無間地獄に落ちる大悪業となるのです。
○出家教団〈サンガ〉を分裂させることは、
地獄へ至る五逆の罪に含まれ、教団を分裂させたり、
活動を妨げたりすることも同様に七逆の罪に含まれています。
(オウム教団機関誌の92年6月号より)
(4)外部者に従うこと
「ひかりの輪」は、外部監査委員会を設置し、他の宗教宗派や精神修養の指導者の指導を受けていますが、麻原・オウムの教義では、麻原以外の教えは真理ではなく、他の宗教=外道に従うことは、以下の通り、輪廻転生を狂わせ、地獄に落ちるとされています。
○もしわたしたちがここに真理というものがあって、
その真理というものを否定し、正しくないものに、
一時的な結果のために帰依したとしたら、
それはわたしたちの輪廻転生を、
あるいはわたしたちの今後の人生をだ、狂わせると思うか、
それとも狂わせないと思うか。
もう一ついきましょう。はい。
(信徒)輪廻転生を狂わせます。
そうだね。わたしたちの輪廻転生を狂わせるわけだ。
(麻原説法 88/5/29 札幌支部にて)
○一般の凡夫、外道の意識状態はどうかというと
もうそれは計り知れないと。よって、救済は失敗すると。
だからね、君たちは、もっとチャンネルを上げるように
意識を高くするように。
全力で自分自身を、ね、引き上げなさいよ。
そして下向の道をね、歩こうとしている人たちに対しては
絶えず警告を発すると。
「おまえ、その状態じゃ地獄に落ちるぞ」と。
(麻原説法 90/3/17 富士山総本部にて)
(5)出家をやめること(脱会)
「ひかりの輪」は、発足以来、オウムの出家者だった専従会員の3分の2が脱会し、そのほとんどは、一般会員にもなっていません。しかし、麻原の教義では、出家をやめることは「下向」と呼ばれ、それは、地獄を含めた低い世界(三悪趣)に落ちる大悪業とされており、この教義が、坂本弁護士事件の発生の原因ともなりました。
○現世にはいい女もいるし、いい男もいるし、
うまいものもあるし、
あるいは地位だって権力だって名誉だってあるじゃないかと。
(中略)
落ちるものは落ちなさい。
わたしが以前から「落ちる」という言葉を使っているのは
仏典の言葉である。
釈迦牟尼は「下向」という言葉を使っていらっしゃる。
これはどういうことかというと、
三悪趣(地獄・餓鬼・動物の低い世界)に落ちるという意味だ。
(麻原説法 90/7/8 富士山総本部にて)
(6)親の介護を出家より優先すること
「ひかりの輪」では、オウムの出家者だった専従会員が、親の介護のため活動場所を変えたり、脱会していますが、麻原の教義では、親のために真理の実践から離れることは、自己にとっても親にとっても真理との縁を傷つける大悪業となります。これが坂本弁護士事件の発生の原因となったのです。
○こういう場合には、縁を切ってもよろしい。
例えば、ここに真理というものがあるとしよう。
そして、あなた方がその真理を実践しようとすると。
しかし、親が無智のためにだよ、あるいは子が無智のために、
それを阻害すると。
その場合には、それは切りなさい。
なぜならば、長く引っ張れば引っ張るほど、
相手に悪業を積ませることになるからだ。
(麻原説法 88/7/31 名古屋支部にて)
○両親に特別な愛着を持つことが、
果たして利益があるだろうかと、ね。
(中略)、救済する、
これが本当の愛ではないかとわたしは考えている。
(麻原説法 88/9/21 富士山総本部にて)
○それは、カーリー・ユガの時代(※現代)ということは、
例えば親子関係や、あるいは兄弟の関係や、
あるいは友人の関係等がすべて逆縁によって
形成されているということである。
もともとこの闇の時代の特徴というのは、
それぞれが嫉妬によって憎み合うということなのである。
つまり、四無量心における称賛の瞑想ができない環境で
皆さんは生活をしなければならないと。
したがって皆さんが到達しうるはずの最高の解脱、
あるいは悟りに対して本来最も喜び、
恩恵を受けなければならないはずの皆さんの肉親や、
あるいは知人・友人が逆に手や足を引っ張る現象が
起きるはずであるということである。
(麻原説法 94/3/13 大阪支部にて)
○子供の出家によって苦しんでる両親を、
麻原はほっとこうとしてるのかと。ね。
--そうではないよね。
では、なぜそうではないと言えんだと。
なぜ言えるんだと。(中略)
娘のやったことは、ね、出家をし、
真理を実践することによって、ね、
その果報というものは親に返るわけだよね。
(麻原説法 89/10/10 大阪支部にて)
○そしてわたしは、よく修行から現世に帰ることを
"落ちる"という言葉を使っている。
そして、『南伝大蔵経』においても、
仏陀釈迦牟尼は、「下向」--下へ向かう、
つまり"落ちる"と同じ意味の言葉を使っているということだ。
そしてここにおいても、同じように親族が反対し、
現世へ引き戻そうとする。
そして、あらゆることが行なわれた。
今の時代は、そんな状態の比ではない。
そして、わたしはそれについて、大変いいことだと考えている。
なぜならば、わたしに最後の一つの選択しか与えてくれなくなったからだ。
タントラ・ヴァジラヤーナにおいて、四つの選択肢がある。
第一は、相手を幸福にする、そのための修行法を伝授するということだ。
第二は、相手に繁栄を与える、そのための修行法を伝授するということだ。
そして、第三と第四をここで話せないことは残念だが、
四つの選択肢があるということだ。
(麻原説法 90/3/13 富士山総本部にて)
○オウム真理教に対して、
「被害者の会」(※出家信者の親達による、オウムに反対する会)
というものがある。
しかし、この「被害者の会」というものは、
本来は「加害者の会」である。
なぜ「加害者の会」なのかというと、つまり、本当の意味で、
自由・幸福・歓喜を得ようとしている自分の肉親に対して、
それを阻む。
完全に地獄へ落ちる道を歩んでいる「加害者の会」と言わざるを得ない。
これは断言しよう。
私が否定しようと、あるいは私がそれはあり得ないよと言おうと、
間違いなく「被害者の会」の者達は地獄へ落ちるだろう。
(麻原説法 90/5/13 杉並道場にて)
○本当に親のことを思うなら、(中略)出家の者は、
出家した以上きっぱりと親のことを忘れ、ひたすら修行し、
人間の終極の目的である解脱を得、死を超え、
そして光の子として生まれ変わって多くの者を救済し、
多くの功徳を積んで、その恩恵を親に与えるべきである。
(麻原説法 90/8/14 阿蘇・シャンバラ精舎にて)
6.麻原・オウムの教義での「絶対的な帰依」とは、麻原の言葉通りに実行すること
すでに述べたとおり、麻原・オウムの教義の中核である「麻原への絶対的な帰依」とは、弟子が麻原の言葉通りに実行することですが、この点がよく理解できる麻原の説法を紹介します。これは公安調査庁も認めていることです。
(1)公安調査庁自身が認めていること
麻原の指示で弟子が「目的のためなら手段を選ばないというタントラヴァジラヤーナ(秘密真言金剛乗)」を実践する場合、麻原に対する絶対的な帰依として--比喩的な表現ですが--「グルのクローンになる」という修行があり、「自分の思考を入れずに、グルの指示にそのまま従うことで、あたかもグルのクローンになる」ということをしなければならないというのが、公安調査庁自身の主張です。
重要なことは、「グルのクローン」すなわちグルと同じ人間になったかのように、グルの指示をそのままに=その言葉のままに実践することであり、言い換えれば、それ以上でも、それ以下でもあってはならないのです。
以下は、1996年のオウム真理教に対する破防法弁明手続の際の、教団側代理人弁護士の発言の引用です。
○弁明者(◎◎◎◎)この辺、公安調査庁の主張によると、だれでもこのヴァジラヤーナの教えが実践できるとは、さすがに公安調査庁も言っていないんだけれども、公安調査庁の論法によると、これは証拠の要旨11ページによると「麻原の説く秘密金剛乗はグルを絶対視し、そのグルに帰依し、自己を空っぽにし、その空っぽになった器にグルの経験ないしエネルギーをなみなみと満ちあふれさせること、つまりグルのクローン化をすることである」と言っているわけなんですがね。
つまり、そうやってグルのクローンになれば、自分もヴァジラヤーナが実践できる、という形で能力を取得するという論法なんです。(中略)
この点に関して、あなたの指示があれば、たとえ犯罪でも無条件で私は従いますというような、信徒さんなのか、元の信徒さんなのかわからないんですけれども、そういうふうに要するに自分にとってどういう意味があるのかわからないけれども、麻原さんが言うことであるならば、それは正しいことなんだから無条件に私は従って、殺人でも何でも行いますというようなことを言っている人がいるというふうに公安調査庁は証拠を出してきているわけです。(中略)
結論として、つまり要するに自分では理解できなくても、グル、麻原さんの言うことであれば、それをそのまま従うということが正しい行いであるという、それがヴァジラヤーナの実践になるということ......(同弁明期日調書より)
(2)麻原の言葉以上でも以下でもなく実践しなければ絶対的帰依にならないこと
上記のとおり公安調査庁が認めるように、タントラヴァジラヤーナの実践の大前提は、「麻原への絶対的帰依」です。
しかし、「麻原への絶対的帰依」となるためには、以下の通り、麻原の言葉以上でも、それ以下でもなく、「そのままに」行わなければならないのです。
○帰依ができているということは、
完璧にグルの言っていることを百パーセント実践すると。
これは百二十パーセント実践しないと。
あるいは八十パーセント実践しないという意味だ。
百パーセント実践すると。
(麻原説法 88/9/22 富士山総本部にて)
上記と全く同じことですが、グルの言葉・行動と自分の言葉・行動を完全に同じものとする(合一させること)が、麻原の変化身(=麻原の分身・麻原のクローン)になるためには必要とされます。
○君たちが、わたしと輪廻を共にする場合、
君たちがわたしの変化身として、
もし、これからの人生をトランスフォームすることができるならば、
必ずや君たちは、来世わたしと共に輪廻することはできるであろう。
ではどのようにしたら、わたしの変化身になれるのか。
それは言うまでもなく、心においてグルと合一し、
言葉においてグルと合一し、
そして行動は、グルがなすであろう行動を実践すべきである。
(麻原説法 93/10/5 第二サティアンにて)
○グルが与えたね、あなたはこれをやってはいけない、
これをやりなさいということに対して、絶対服従することだね。
(麻原説法 86/3/21~24 丹沢集中セミナーにて)
また、「麻原に対する絶対的帰依」のためには、「グルと全く同じものの考え方や見方」をしなければならないことは、観察処分更新手続において公安調査庁が提出した書面からも確認することができる(以下は、公安調査庁の「証5」p12~13より)。
○麻原は、「タントラ・ヴァジラヤーナ」を実践するためには、
グルである麻原に対する完璧な帰依、
絶対的な帰依が必要であると説いて、
麻原に対する絶対的な帰依を要求するとともに(証5-14、24)、
自己を捨て、グルと全く同じものの考え方や見方をして
グルと合一することであると説いた。(証5-25)
そして、このようにしなければ、それは悪業になると強調されています。
○グルの意思とは違うようなね、
動きがかなり行なわれていると。
で、ここでいったん修正しないと、
単なる弟子たちに悪業を積ませてしまうだけであると。
(麻原説法 89/7/20・21 富士山総本部にて)