【9】ひかりの輪とアレフの大きな違い
(2019年2月28日)
ひかりの輪とアレフ(Aleph)には大きな違いがあり、それが、ひかりの輪がアレフ=オウムと全く別の団体であることを示しています。
これらのことを、当団体は、観察処分取消しを求めて裁判所に提出した書面で主張してきましたので、複数の書面から該当部分を抜粋して以下に引用します(一部、個人名を伏せたり、わかりやすく訂正したりしている箇所があります)。
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【9】ひかりの輪とアレフの大きな違い
1.「ひかりの輪」の性格・活動が、オウム・Alephと大きく異なるという具体的な事実
この点に関しては、これまでも詳しく述べてきたが、以下にその一部の要約を改めて示す。
まず、「脱麻原」の諸改革をし、観察処分の被処分団体には含まれないことに関しては、本書の記載に加えて、一審のひかりの輪準備書面(1)で、次の事項を記した通りである。
<1,「脱麻原」の団体改革1:開かれた団体への改革をしたこと>
(1)専従会員・資産の大幅減少と、居住形態・施設の大きな変化
(2)集団居住と大規模施設の解消
(3)オウム型の出家教団の廃止の確認と、専従会員制度の正式な導入
(4)自己反省法「内観」の実践によって、オウム問題の原点=「親との断絶」が解消し、
親族との関係が劇的に変化したこと
(5)外部監査委員会を設置、外部識者の監査・指導を受けていること
(6)様々な機会に、様々な一般人・社会と交流していること
<2,「脱麻原」の団体改革2:宗教団体ではなく、哲学教室へと改革したこと>
(1)哲学教室への改革に至る前の諸改革
(2)哲学教室への転換の契機:2013年夏の上祐と田原氏との対談
(3)2013年12月:基本理念を改正し、正式に哲学教室へ転換を決定
(4)2014年2~3月:哲学教室への改革に合わせた施設改革を開始
(5)2014年5月:エンパワーメント廃止を確認、ヒーリングを導入
(6)2014年9月:哲学教室への完全な転換のための様々な改革①
(7)2014年10~11月:哲学教室への完全な転換のための様々な改革②
(8)一連の改革は団体内外に広く認識されたこと
(9)一連の改革で、公安調査庁が批判した事項は全て解消されたこと
<3.物理的にも様々な意味で、麻原から離脱した状態であること>
(1)「ひかりの輪」の専従会員は、麻原と面会する意思も、法的な権限もないこと
(2)麻原は長年、家族を含めた何人に対しても面会を拒絶していること
(3)麻原は、間もなく刑死し、いかなる意味でも、主宰者たりえないこと
第二に、「反麻原」の諸活動を行い、全力でオウム教義の流布を防ぎ、被処分団体とは真逆の存在であることに関しては、次の事項を記した。
<1,「反麻原」のHP・出版・出演・講演等の広範な活動>
(1)麻原等を徹底批判したHPの記事、会員向けの教本、講話
(2)麻原・オウム・アレフを徹底批判した著作を多数出版したこと
(3)今後も麻原等を批判する出版が多く予定・検討されていること
(4)麻原等を批判する出版物への協力や長編対談記事
(5)テレビ・ラジオ番組での麻原等の批判
<2.アレフ信者の脱会支援・入会未然防止のための活動>
(1)アレフ脱会支援活動の経緯と内容
(2)脱会支援活動の成果
(3)脱会支援活動は、会員の奪い合いではなく、適正・適法に行われたこと
(4)報道機関と連携したアレフ信者の脱会支援・入会未然防止の活動
<3,反麻原の活動3:アレフの著作権侵害問題の摘発協力>
(1)協力の事実の証明:支援機構の理事・弁護士への確認
(2)協力の開始の経緯
(3)協力内容の概要
(4)被害者支援機構とオウム教義流布防止という「共同目的」があること
第三に、アレフ時代から2011年までに行った諸改革と、最近(2015年~2018年)の脱麻原・反麻原・反Aleph活動の徹底に関しては、本書面で先に記した通りである。
2.発足以来の10年、「ひかりの輪」とAlephには、順法精神に明確な違いがあること
(1)「ひかりの輪」に逮捕・起訴された者はいないこと等
2007年の発足以来、「ひかりの輪」は、公安当局の厳しい監視下にありながらも、以下の通り、団体に関係した刑事・民事の双方の違法行為が認定されたことは一度もない。「ひかりの輪」の専従会員(スタッフ)は、誰も逮捕・起訴されたことは一切なく、一般会員(非専従会員)は、「ひかりの輪」の団体活動で逮捕・起訴されたことは一切なく、民事訴訟でも、「ひかりの輪」は訴えられたことはない。
ただし、いわゆる団体に対する情報収集を目的とした「公安捜査」であるが、警視庁の公安部から、旅行業法違反容疑での強制捜査(2014年8月)を受けて書類送検されたが、2015年8月に東京地検により不起訴処分となった(なお、同じ警視庁公安部が、「ひかりの輪」の会員ではなく、「ひかりの輪」の外部監査委員を道路交通法違反(無免許運転)で2016年1月に書類送検したことがある(略式処分))。
(2)Alephは多数の逮捕・起訴事案、有罪判決等があること
一方で、Alephは、以下の通り、出家信者および在家信者が多く逮捕されており、そのうち起訴・有罪判決を受けた事例もある。
○2011年7月14日-公安調査庁の教団施設に対する立入検査を妨害したとして、公務執行妨害の容疑で、Aleph法務部幹部ら信者2人が警視庁公安部に逮捕された(不起訴処分)。
○2012年5月30日-ヨガ教室の入会を装いAlephへ入会させ、入会金を騙しとった容疑で、滋賀県警察にAleph信者3人が詐欺容疑で逮捕された(不起訴処分)。
○2013年12月4日 - アレフに知人を無理やり入信させようとした強要未遂容疑で、アレフ信者の◎◎容疑者が大阪府警に逮捕(後に有罪が確定)。
○2016年3月26日 - モンテネグロで、Aleph信者の日本人4人と55人のロシア人が現地警察特殊部隊に拘束された(間もなく釈放・帰国処分)。
○2016年4月5日 - ロシア連邦捜査委員会は、ロシア国内でAleph信者団体が市民に対する暴力を伴う活動を行っていたとして強制捜査、10人を拘束(間もなく釈放) 。なお、これ以前に、2015年10月21日に、ロシア治安当局が、モスクワのAlephの団体施設を摘発、市民の権利を侵害する団体を設立した疑いで捜査を始めていた。
○2016年9月2日 - 神奈川県警が、同年3月2日の公安調査庁によるAlephの横浜施設への立入検査に対する拒否の容疑で、Aleph信者2人を逮捕。
○2016年9月20日 - ロシア連邦最高裁判所がオウム真理教とAlephをテロ組織と認定、ロシア国内での活動が全面的に禁止された。(※「ひかりの輪」は対象外である)
○2017年1月12日 - 2016年2月4日に公安調査庁が行ったAlephの愛知施設に対する立入検査の際の団体規制法違反の容疑で、愛知県警がAleph信者5人を逮捕、7都府県11カ所の教団施設を家宅捜索(うち1名が罰金刑) 。
○2017年11月13日 - 仏教の勉強会を装った(Alephのための)勧誘活動に関連して、特定商取引法違反(書面不交付)の容疑で、Alephの札幌や福岡の教団施設など5カ所を北海道警が家宅捜索、2018年1月19日に同容疑で信者1人が書類送検された。
○2018年2月7日(本件は団体との関係性は未証明のため参考情報)公共職業安定所(ハローワーク)から失業給付金を不正に受給した詐欺容疑で、宮城県警がAleph在家信者を逮捕、東京と水戸のAleph教団施設を家宅捜索(県警は不正受給した資金が団体に流れたとみて捜査中)。
(3)Alephは被害者組織と紛争状態にあること
また、2012年3月15日に、オウム真理教犯罪被害者支援機構は、Alephによるオウム事件の賠償契約の不履行と著作権侵害の問題で、東京簡裁に調停を申し立てた。
しかし、2017年12月22日に、Aleph側は合意を最終的に拒否し、調停は決裂した。その担当弁護士である伊藤良徳氏によれば、以下の通り、「ひかりの輪」とAlephの対応の違いが明確になっている。
オウム真理教犯罪被害者支援機構は、アレフ、ひかりの輪と間で今後の賠償計画に関する交渉を続けてきました。
2009年7月6日、ひかりの輪(上佑グループ)との間で合意が成立しました。この合意によって、ひかりの輪は、破産手続で債権届出しなかった被害者(実質的には給付金の支給を受けた被害者でオウム真理教犯罪被害者支援機構に配当の申し出があった被害者ということになります)に対しても新たに債務を引き受けて賠償することになりました。賠償金の支払額は、ひかりの輪が年2回オウム真理教犯罪被害者支援機構に提出する財政状況等の報告書を元に最低額を協議して決めることになり、2009年は最低300万円、目標800万円となっています。
他方、アレフとはすでに8年以上にわたって交渉を行っているのにアレフ側から月々ないし年間の賠償予定額がいまだに示されない状態にあります。オウム真理教犯罪被害者支援機構は、2012年3月にアレフに対して民事調停を申し立て、東京地裁で調停が続けられてきました(調停の状況については第三者に公表しないというアレフの要請に応じて、これまでこのサイトでも記載は控えていました)が、その中でも裁判所(調停委員会)からの度重なる要請にもかかわらず、アレフは月々あるいは年間の支払額の案を一度も示さず、2017年11月に裁判所から支払額を示した調停案が提示されるや、アレフは対案や修正案さえ示さずにこれを拒否し、次の調停期日の2017年12月22日には、調停を不調に終わらせました。裁判所は、調停案に沿った調停に代わる決定を行いましたが、アレフはこれに対しても直ちに異議申立をし、調停での解決の道は葬られました。被害者の被害の完全賠償への道はまだまだ遠く前途多難です。
また、Alephは、麻原の長男や、Alephを除名処分となった者などによって、損害賠償請求の民事訴訟を提起されていることも多く、民事上のトラブルも相次いでいる。
3.「ひかりの輪」は、公安調査庁と比較しても、順法精神が高いこと
「ひかりの輪」の一審の原告準備書面(1)第2で述べた通り、公安調査官が、「ひかりの輪」に対する公安調査庁の立入検査の日程を「ひかりの輪」の本部教室に居住する20代の男性会員(既に脱会済み)に事前漏洩したが(国家公務員法・守秘義務違反)、罪の意識に耐えかねた同元会員が、「ひかりの輪」に告白し(告白時は脱会済)、「ひかりの輪」の告発を受けた東京地検が同調査官を略式起訴した。
この際、同調査官は、男性会員に自分の犯罪の証拠隠滅を指示して、同元会員さえも犯罪に巻き込もうとしており、さらには、その背景事情として、同調査官は、公金を使って同元会員とガールズバーで豪遊を繰り返すなど、判例で認められる程度をはるかに超えた違法な金銭・利益供与をしており、何重もの犯罪・違法行為を重ねていたのである。
この問題が発覚解決したのは、元会員が、それ以上の金銭的な誘惑に負けずに、罪の意識を抱いて反省して「ひかりの輪」に告白した結果であって、さらには、「ひかりの輪」が、立入検査を受忍する側であるにもかかわらず、公安調査庁が情報漏えいなどせずに、しっかりと検査を行うようになるためにも、正式に告発したからでもある。
こうして本来は、本来は犯罪を監視すべきである公安調査庁側が犯罪に及び、監視される側の「ひかりの輪」が同庁の違法行為を正すという逆転現象さえ起こっているのが、発足以来10年間の「ひかりの輪」と公安調査庁の実態であるといわざるを得ない。
実際に、事実として、「ひかりの輪」は、団体規制法に違反したと司法機関に認定されたことは一度もないが、公安調査庁側は少なくとも本件で有罪処分(略式起訴)が確定している。さらには、すでに一審のひかりの輪準備書面(1)で述べた通り、公安調査庁には、立入検査のマスコミ等への情報漏えいや、違法なまでの多額の金銭提供の事例が多数存在している。本書面の第5でも述べた通り、公安調査庁の金銭誘導に頼る違法で危うい情報収集の手法・体質は、元調査官の西氏なども厳しく告発している通りである。
特に、「ひかりの輪」のスタッフや会員が、公安調査庁から判例が認める程度を越えた金銭提供を受けることは、一般社会から見れば、到底容認されることではない。例えば、ひかりの輪の外部監査委員会の元委員長である松本サリン事件被害者遺族の河野義行氏を初めとして、外部監査委員の識者は、一般社会から見れば、「公安調査庁が裏でひかりの輪に資金を流し、ひかりの輪に観察処分に相当する(違法)行為を意図的になさせ、両者がグルになって国民を欺いているとさえ解釈されうる」と厳しく批判し、即座に禁止するように「ひかりの輪」を指導した。
そこで、「ひかりの輪」は、会員らが、金銭的な誘惑に負け、公金が不正に使用されることがないように周知徹底を図ってきており、その結果が2014年のひかりの輪の外部監査委員会による監査結果報告書にも反映されている。ところが、依然として金銭誘導による違法で歪んだ証言・証拠に頼る公安調査庁側からは、何の健全な協力も得られていない状態である。
また、元公安調査庁長官の緒方重威が、(ちょうど「ひかりの輪」が発足した)2007年の4月に、(同庁在職中には自分の監視対象だった)朝鮮総連に関連して詐欺罪によって起訴され、懲役2年10月(執行猶予5年)の有罪判決が確定した事例もある。この事案の背景には、緒方が監視対象の総連と癒着して利便を図ろうとした面があることが、よく指摘されているが、同庁の組織のトップにあったものさえ、その業務において、健全な監視のための順法精神を保っていないのであるから、組織全体については言うまでもない。
「ひかりの輪」の専従会員の順法精神に関しては、前記の通り、団体の活動に関連した行為においても、純粋に個人的な行為においても、発足以来、一人も逮捕されたことはなく、民事訴訟も起こされたことがない。加えて、本書の第6の3・4に示した通り、法的義務でありながら、少なからぬ国民が履行を怠っている国民年金保険料の納付などに関しても、「ひかりの輪」の専従会員は、オウム時代の未納分を含めて、法的に払えるものは全て払い、その義務を完全なまでに履行している。
なお、前記第6の4で述べた通り、これはオウム時代の政治上の主義の完全な放棄を示す重要な事実である。オウム時代は、同保険料の支払いは全く行われていなかったが、それは、国家を悪業多き魂・悪魔の手先と敵視して信用せず、さらには武力行使で破壊する対象と位置付ける思想(本件の政治上の主義に関係)などを背景としており(ともかく保険料を支払っても戻ってこないという考え)、これを解消し、将来の経済設計を国家と共有する「ひかりの輪」の姿勢は、オウム時代の政治上の主義による危険性の消失を明らかに示している。
さらに前記の通り、2017年東京地裁判決は、以下の通り、その各所で「ひかりの輪」とAlephが異なることを認めている。
① Alephは被請求団体の一部であり(判決p89)、麻原の意思を尊重し、麻原の意思を慮って団体運営しているが(判決p96)、「ひかりの輪」は被請求団体の一部ではなく(判決p99)、その設立は麻原の意思に従ったものとまでは認められず(判決p93~94)、麻原が原告の代表者及び主宰者ではないとも言い得る(p97)。
② 「ひかりの輪」は、Aleph時代にも、A派(反上祐派)と対立しており、オウムの教義は多義的で異なる解釈が存在し(判決p94)、本件の政治上の主義が今も教義と密接不可分とは言えず(判決p94~95)、「ひかりの輪」がAlephと同一の団体とは言えない(p95)。
③ 「ひかりの輪」は、基本理念で麻原への帰依を否定し、哲学教室への変革を標榜し、Alephは帰依を深めており、少なくとも表面的には「ひかりの輪」とAlephの性格は相当異なっており(P95)、「ひかりの輪」とAlephは役割分担しておらず、逆に対立関係であり(判決p95)、仮に、「ひかりの輪」に、麻原隠し、オウムとの類似点、麻原に帰依する構成員があっても、Alephと同一の団体ではない(p98)。