瞑想法
ひかりの輪で行っている瞑想法のコーナーです。仏教的瞑想法、瞑想用の聖音・お香・音楽などをご紹介。

このコーナーについて

  • 1.瞑想とは何か?

     瞑想を専門的に定義するならば、瞑想とは、「心の安定と集中をもたらす修習(しゅじゅう)」ということができます。

     この修習とは、「繰り返し行うこと」を意味します。そして、心が安定して集中している状態を瞑想状態といいます。言い換えれば、思考や感情が静まりながら、ないしは、自分の意志のもとに思考や感情を制御しながら、ボーッとなどしておらずに、意識は鮮明であり、何かに集中している(何かに集中が可能な)状態です。

     瞑想は、漢訳の仏教専門用語では、「禅定(ぜんじょう)」といいます。または、「禅(ぜん)」や「定(じょう)」と呼ばれます。禅は、日本語として馴染みがある「座禅」の禅です。座禅とは、「座って行う瞑想」です。同様に、「立禅」、「歩行禅」もあり、それぞれ「立って行う瞑想」、「歩行しながら行う瞑想」を意味します。禅定は、禅と定の複合語で、おそらく中国で出来た言葉だと思われます。

     この禅と定のサンスクリット語の原語は、ディアーナ(静慮)とサマディ(三昧(さんまい))であり、これはヨーガでも説かれる言葉です。この二つには、それぞれの意味がありますが、それは宗派・経典によって異なる面もあるので、ここでは省略します。

  • 2.このコーナーでご紹介する瞑想について

    このコーナーでは、ひかりの輪で学習・実践している、瞑想法についてご紹介しています。

    ①仏教の伝統的な瞑想法
    ②ヨーガの伝統的な瞑想法
    ③現代の心理療法の瞑想法
    ④団体オリジナルの瞑想法

    さらに、その瞑想の効果を高めるために以下の物品をご紹介しています。

    ①仏教の各種のサウンド法具
    ②団体オリジナルの瞑想音楽
    ③海外からの特別な瞑想用のお香


    >>各種法具は、こちらのネットショップにて販売しております。ぜひ一度ご訪問ください。

瞑想と3つのタイプ

  • 7.心理的瞑想③:マインドフルネス

    ひかりの輪のマインドフルネスの思想と実践の一部を以下に公開します。

    マインドフルネスは、アメリカではストレスへの対処法として大人気です。雑誌「TIME」でも特集が組まれるほどの人気です。グーグルやインテルなど、ストレス対策として社員研修のメニューに取り入れる企業が増えています。


    ●マインドフルネスとは?

    マインドフルネスとは、注意深く今の瞬間に価値判断なく気づいている意識状態のことで、客観的に自分の動作・心を見つめている状態です。

    もう少し、いくつかの観点からマインドフルネスというものを説明します。

    ①心を開いて、今この瞬間に十分に気づいている意識状態であるということです。
    私は自分の体験していることに十分意識をもって行っていないことが多々あります。マインドフルネスとはそうではなく、今この瞬間の自分の体験を注意深く客観的に意識している状態です。そのためには判断を加えずに今という瞬間の体験と向き合うことが必要です。

    ②あるがままを受け入れる
    次に、マインドフルネスの特徴は、今のこの瞬間のものごとをあるがままの形で見る、受け入れるということです。
    私たちの心は通常、ものごとをありのままに受け取るのではなく、それに好き嫌いの色づけをして、自分の気に入るものへの欲求(愛着)と気に入らないものへの排除(嫌悪)、という「とらわれ」を生じさせます。そうではなく、そのままを受け入れ認識するようにします。

    ③常に初めて体験するように、予断をさしはさまないで、その瞬間を体験する。


    マインドフルネスは、慢性病の疼痛の軽減のためにマサチューセッツ大学医学部名誉教授のジョン・カバットジン博士が開発しました。その後、うつ病やパニック障害、不安障害などの心理療法である認知療法に取り入れられマインドフルネス認知療法として多くの人がその効果を実感しています。

    今では、認知療法だけでなくその他の心理療法の分野で広く浸透しています。

    このマインドフルネス瞑想は、仏教の瞑想法であるサマタ瞑想、ヴィパッサナー瞑想や禅がもとになっています。それでは、以下にヴィパッサナー瞑想について解説します。


    ●ヴィパッサナー瞑想

    マインドフルネスは、テーラーワーダ仏教(南伝仏教)のヴィパッサナー瞑想がもとになっています。ヴィパッサナー瞑想は、自分の瞬間瞬間の心身の状態を観察し気づいている状態です。

    お釈迦さまが説かれた瞑想に則った瞑想法です。

    それは四念処と言われるもので、身(体)・受(感覚)・心・法(現象)に対する観察です。

    * 身念処:そのときどきの身体の状態に気づきをもって見守る
    * 受念処:そのときどきの感覚に気づきをもって見守る
    * 心念処:そのときどきの心の状態に気づきをもって見守る
    * 法念処:現象・ものごとを気づきをもって見守る

    という観察です。経典には細かく観察法が書かれています。

    通常、マインドフルネスの訓練としては、四念処の身念処のはじめである「呼吸を見つめる瞑想」を行います。この呼吸を見つめる瞑想は、お釈迦さまが行った「アーナーパーナ・サティ(入出息念)」という瞑想です。


    ●マインドフルネスの効果
    ~感情・ストレスのコントロール、心に巻き込まれない自分をつくる~


    1.思考・感情の脱同一化が起こる・・・自分と思考・感情を同一視しない

    客観的に見つめるという意識状態によって、思考は事実とは違うことがわかってきます。また、思考は流れ去る雲のようなものであるということが実感として認識され、 その結果「単に思考に過ぎない」という捉え方になって、思考と自分を同一視することがなくなり、思考や感情を自分から話して客観的に見ることができるようになり、思考や感情に捲き込まれることがなくなります。 それによって、不安や怒りといった感情を少しずつコントロールできるようになります。


    2.思考・感情の脱自動化

    思考や感情は通常、自分の意思とは関係なく、自動的に生じます。それは習慣化・パターン化されたものです。その自動的な無意識的な反応に、マインドフルな意識状態は「気づく」ようになります。気づけば、自動的にならず自分でコントロールができやすくなります。つまり、自分を苦しめる習慣化された否定的な心の働きに気づき、その心に翻弄されることがなくなります。


    3.リラクセーション効果によるストレス軽減

    思考や感情のコントロールによってもストレスは軽減しますが、マインドフルネスによってリラクセーション効果が生じ、それによってつらい気分や感情から解き放たれる。それによって、自分の偏った認知やそれにともなった行動が修正されやすくなります。

    ここで、マインドフルネスの効果についての研究をご紹介します。

    ウィスコンシン大学での研究で、健康ではあるがストレスを感じている従業員を対象として企業での勤務時間にマインドフルネス瞑想を実施しその効果を検証しました。マインドフルネス瞑想をした人たちは、そうでない人たちよりも、不安や落ち込みといった感情にうまく対処でいるようになったということです。


    ひかりの輪では、ヨーガを行いながらのマインドフルネス瞑想というものもあります。

    アーサナ(ヨーガの体操)をしながら、体のどこにどんな感覚があるか、あるいは体がどういう状態にあるのか気づきをもって行います。また、呼吸法も呼吸に意識を向けたマインドフルネス瞑想となります。

    また、より詳しくマインドフルネスについてお知りになりたい方は、以下の動画、教本をご覧ください。

    動画『マインドフルネスと仏教の念の瞑想』(2017年5月4日 73min)

    動画『マインドフルネス:心に翻弄されない意識~仏教との接点~』(2017年5月5日 94min)

    動画『アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)』(前編)(2017年1月1日 78min)

    教本『マインドフルネスと仏教の念の瞑想』

    東西心理学総論教本《第3集》 『認知行動療法の系統 マインドフルネスから慈悲まで 仏教に近づく現代の心理療法』

  • 6.心理的瞑想②:万物愛

    ここでは、万物を愛する心を培う瞑想法をご紹介します。

    万物を愛する心は、宗教だけに限らず、人間の理想とされますが、仏教では、すべての生き物を平等に愛する仏陀・菩薩の心を大慈悲といい、キリスト教では博愛(アガペー)といいます。

    万物を知る仏の智慧や神の全知と、万物を愛する仏の大慈悲や神の博愛は、神仏の本質であり、仏道修行者がその体得を目指す境地です。


    1.仏教の四(し)無(む)量(りょう)心(しん)の瞑想

     仏教では、仏の大慈悲の心は、四無量心とも呼ばれ、四無量心とは、慈(じ)・悲(ひ)・喜(き)・捨(しゃ)という仏・菩薩の四つの広大無辺な利他の心と実践です。

    そして、これを実践する本人こそを幸福にすると説かれます。ひかりの輪では、この思想を参考にして、万物を愛する心をわかりやすい現代語で表現した言葉を作り、それを瞑想しています。

    ご覧の通り、これは何かの信仰を必要とするものではなく、広い愛の心を培うものです。


    ◎四無量心(四つの広大な利他の心)

    他の幸福を願い   他に幸福を与え
    他の苦しみを悲しみ 他の苦しみを抜く
    他の幸福を喜び   自己の苦しみを超え
    万人万物に平等心を持つ


     最新の脳科学では、人間の脳には社会脳という機能があり、利他の心や行為は、心身の健康・記憶力や実行力を高める幸福ホルモンを体内で分泌させる一方、過剰な他者への嫌悪・恐怖・攻撃は、心身の健康や知力を損なうストレスホルモンを分泌させることがわかっています。言い換えれば、利他こそが本当に自分を幸福にするのです。

     さらに、脳科学では、困難・苦しみは、人の脳の鍛錬・発達を促し、それに前向きに立ち向かうチャレンジングな生き方が幸福をもたらすともされます。心理学でも、より多くの人の幸福を考える人が、幸福になりやすいという調査結果が出ています。

     なお、ひかりの輪では、この万物を愛する瞑想の際に、一般に人気がある仏像の中で、著名な心理学者も、聖なるシンボルと解釈したものの写真画像などを見ることで、その瞑想の効果を高める場合があります。

    kirokubosatu.jpg cyuuguuji-bosatu.png 広隆寺・弥勒菩薩半跏思惟像                中宮寺・菩薩半跏像


    2.ひかりの輪オリジナルの読経瞑想

     仏教では、万物を愛する仏陀の四無量心とともに、それと結びついた仏陀の物事・世界の見方を、仏陀の「智慧」として説いています。私たちの日常でも、物の見方が変わると、物の感じ方が変わるという体験があると思いますが、さまざまな心理学の理論でも、人の物の見方と感情は深く結びついていることが説かれています。

     そして、仏陀とは、目覚めた人という意味で、これは物事・世界の真実の在り方を悟ったという意味があり、すなわち、仏陀のように、この世界の真実の在り方に気づくと、自ずと万物を愛する心が生じるというのが仏教の思想です。言い換えれば、通常の人の世界の見方では、私たちが日常経験するように、万物を愛する心ではなくて、好きな物・嫌いな物を区別する、偏った心が強く生じます。

     ここで重要なことは、仏教が仏陀の智慧とする世界の真実の在り方とは、科学的・客観的に見ても世界の真実の在り方であるということです。つまり、私たちの常識的で主観的な世界の見方には、いろいろな錯覚があるのです。

     例えば、多くの人は、自分と他人という存在も、自分と他人の幸福も、別のものであり、幸福は自他の間で奪い合うものという認識をしています。

    しかし、最新の物理学は、自と他を含めた世界の万物は一体と見ており、これが仏教の世界観とよく一致することは、ユネスコに集まった科学者と仏教者の会議でも指摘されています。

    また、最新の脳科学が、仏教が説くように、利他こそが利己であり、自と他の幸福は一体とする見方を持っていることは、先ほどご紹介した通りです。

     また、私たちは、楽と苦を別のものと見て、それが物事の好き嫌いの源になりますが、実際には、苦と楽は絶対的なものではなく、比較によって生じ、両者はセットで存在し、それゆえに、「苦楽表裏」「人間万事塞翁(さいおう)が馬」などといわれます。同じく、多くの人が、自分と他人の優劣を比較し、他人はおろか、自分さえ愛せぬコンプレックス等で苦しみますが、固定観念を超えた仏陀の客観的な物の見方では、短所と長所(劣等性と優等性)も裏表であり、表裏一体です。

     そこで、ひかりの輪では、仏陀の科学的・客観的な世界観(智慧)と、万物を愛する心を現代語でわかりやすく表現した言葉を以下のように作り、それを瞑想しています。
     
    ◎三悟心経(三つの悟りの心の教え)
    万物恩恵 万物感謝
    万物神仏 万物尊重
    万物一体 万物愛和

    ◎三悟智経(三つの悟りの智慧の教え)
    苦楽一体 万物感謝
    優劣一体 万物尊重
    自他一体 万物愛和

    ◎三縁起経(三つの縁起の教え)
    万物関連 万物一体
    万物同根 万物一体
    万物循環 万物一体

     また、このような思想を説く仏典が、その世界観を、丸い形をした曼(まん)荼(だ)羅(ら)と呼ばれる図画に表したものがあります(右の図)。曼荼羅とは丸いという意味で、この円形の図画は、宇宙と真理と悟りを象徴するとされています。ひかりの輪でも、この図画を見ながら瞑想する場合があります。

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             金剛界曼荼羅(🄫瞑想の郷)            

  • 5.心理的瞑想①:自我超越

     ここでは仏教の伝統である自我執着を超越する瞑想をご紹介します。

     現代は、心理学的には自己愛型社会とも呼ばれ、自他の優劣の過剰な比較を含んだ過剰な自己愛のために、さまざまな苦しみ・ストレスが生じているとされます。

    これに対して、仏教・ヨーガは、物事の無常の瞑想や、自分の財物・名誉に限らず心身をも客観視して、それらを本当の自分とは見ない無我(非我)の思想があり、その代表的な瞑想法として四念処(しねんじょ)や四法印(しほういん)と呼ばれるものがあります。

     そして、最近GAFAなどの一流企業にもストレス解消や自己開発のために導入されているマインドフルネス瞑想も、米国の医師が、この仏教の瞑想法から作った自己客観視の瞑想・心理療法です。

     実際に、普段は自分の否定的な思考や感情に没入してストレスが強い人やうつ病を患っている人などが、マインドフルネス瞑想で、思考や感情を客観視することによって、苦痛がやわらいで癒され、心のバランスを取り戻せることが、心理学的な調査で判明しています。

     そこで、ひかりの輪では、この四念処や四法印をわかりやすい現代語で表し直したものを瞑想しています。

    ◎四念処
    身体不浄 感覚は苦
    心は無常 一切無我

    ◎四法印
    諸行無常(しょぎょうむじょう)  (すべてのものは、無常である)
    諸法無我(しょほうむが)     (すべての事物は、私・私のものではない)
    一切皆苦(いっさいかいく)    (すべては不安定であり、とらわれれば苦である)
    涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)  (煩悩を滅した悟りの境地は、静かで平安である)

  • 4.感覚的瞑想:シンボル瞑想

    ここでは、ひかりの輪で行っている「シンボル瞑想」をご紹介します。これは、特定の宗教・文化によらず、人類に共通した普遍的な「聖なるシンボル(象徴)」と思われるものを活用した瞑想です。
     
    ここでいう「シンボル」とは、心理学的な用語であって、宗教の用語ではありません。そして、聖なるシンボルとは、それを見たり、聞いたり、語ったりすることで、心が静まる、浄化されるようなものを言います。

     以下に、ひかりの輪の瞑想で用いる、聖なるシンボルの具体例をご紹介します。



    1.雄大な大自然(Awe(オウ)体験)

     雄大な大自然に身を置くと、大自然に対する畏敬の念などが生じることを、欧米ではAwe(オウ)体験と呼んで、その心身への影響が科学的に研究されています(英語のaweは畏敬の念という意味)。
     
    自分が大自然の中ではちっぽけな存在であると感じ、驕り・エゴが減少し、大自然に支えられていると感じ(感謝・愛)、幸福感・リラクセーションを感じるとされます。また、脳活動の活性化、免疫力の向上、刹那的な欲求の抑制=長期的な価値観の強化などが生じ、心身の健康が促進されるそうです。

     実際に、雄大な自然を見ると気分が良くなり、心が広がるといった体験をすることは、皆さんにもあるのではないでしょうか。こうして、雄大な自然もまた、特定の宗教・文化に限られない、人類普遍の聖なるシンボルだと思われます。

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    2.光輪(ハロ、halo)

     宗教全体に共通する聖なるシンボルとして、英語でhalo(ハロ・光輪)と呼ばれる光の輪があります。仏教では、後(ご)光(こう)・光(こう)背(はい)などとも呼ばれ、仏画や仏像で仏様の後ろに描かれ、キリスト教などの宗教画でも、イエス・マリアなどの聖人や神様・天使の背後や頭上に描かれます。

     そして、同じくhalo(ハロ・光輪)と呼ばれる、太陽の周りの虹の光の輪が現れる大気光学現象があります。日本語では日暈(ひがさ・にちうん)とも呼ばれますが、ひかりの輪では、この写真画像を瞑想に使っています。

    syaka.jpg 釈迦牟尼の仏画



    iesu maria.jpgイエス・マリアの宗教画(◎新美ブログ)



    halo.jpgハロ・光輪・日暈



    心理学者のカール・ユングも、世界の諸宗教・文化を研究し、人類普遍のシンボルとして、中心に太陽・月・星があって、その周りに輪がある形状をとるマンダラ・シンボルの存在を提唱しました(マンダラは丸いという意味)

     また、太陽とその光は、多くの宗教で神仏と結びつき、世界各地に太陽信仰があり、日本神道の信仰の中心も天(あま)照(てらす)大神(おおみかみ)であり、奈良の大仏も太陽の仏様です。

    宗教ができる前から、太陽の光と熱は、人の生命と物を見る力を支える最も重要なものであり、これを尊ぶのは人類全体が共有する本能的な感覚であり、これから太陽をはじめとする原初の自然信仰が生まれたのでしょう。

     なお、参考までに、ハロと同じく、虹の光の輪を伴うブロッケン現象と呼ばれる大気光学現象があります。日本では古来、これが仏とその後光だと見なされ、2500年前の釈迦牟尼の教団でも、仏の現われと見なされた故事があります。   

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    ブロッケン現象(🄫Wikipedia)



      3.仏画
     
    下にご紹介する仏画は、仏陀釈迦牟尼の背景に、光輪(ハロ)と雄大な山々などの自然が描かれています。

    人類普遍の聖なるシンボルの光輪や雄大な自然が、仏教の聖なるシンボルの仏様と結び付けられているのです。

    なお、この仏画の後光は虹の色であり、釈迦牟尼は太陽族の末裔といわれますから、仏画全体が、太陽の周りの虹の光の輪とシンクロしています。

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      4.言葉のシンボル:マントラ(聖なる言葉・真言(しんごん))

      仏教・ヨーガには、マントラ(聖なる言葉)を繰り返し唱える修行があります。

    仏教・ヨーガの伝統の中では、心が静まるなどの心身への良い効果があるとされていますが、近年の心理学(特に身体心理学)の研究で、人が発声する音と心の状態の関係を調べると、この中に多く含まれるA音やM音などを発声すると、心を安定・解放させる(生理的な)効果があることがわかりました。

     これは、その音を発声したり、聞いたりすることで心が静まるという、聴覚的・言語的な聖なるシンボルということができると思います。そこで、ひかりの輪でも、以下の仏教の代表的なマントラ(三宝(さんぼう)真言(しんごん))の瞑想をしています。

    ◎三宝真言
    ナマ ブッダ ヤ (ブッダを尊重します)
    ナマ ダルマ ヤ (ブッダの教えを尊重します)
    ナマ サンガ ヤ (ブッダの教えを実践する集いを尊重します)

  • 3.身体的瞑想:ヨーガ・歩行瞑想

    1.ヨーガ

    ヨーガの姿勢法・体操法・呼吸法も、本質的には体を整えることによって心をコントロールすることが目的の瞑想であり、身体的瞑想に分類されます。その詳細は、こちらのページ「ヨーガ・気功」をご覧ください。


    2.歩行瞑想

    ひかりの輪ではセミナーにおいて、近くの良い自然の中で、歩行瞑想が行われます。歩行と瞑想を組み合わせるとさまざまな良い効果があります。心と体が深く関係し合っているために、心身を共に浄化する効果があります。


    では、具体的な歩行瞑想の注意点とやり方をご紹介します。

    ①姿勢を正す

    歩行するときの姿勢が大切です。背中を丸めて下を見てうつむいて歩くと心もうつうつとした状態になります。これは身体心理学で研究でも明らかにされています。ですから、背筋を伸ばして真っすぐ前を向いて歩きます。少し胸を張るくらいがいいかもしれません。そうすると心も前向きになります。

    ②一定のリズムで歩く

    歩く速度は一定にします。一定のリズムで歩くことで幸福ホルモンとも言われるセロトニンが分泌されます。

    ③呼吸法を行いながら歩行する

    両鼻から4秒吸って、4秒止め、4秒吐くという基本的な呼吸法を行います。また、4秒吸って8秒吐くという息を止めないやり方もあります。

    ④マインドフルネス瞑想として行う

    左右の足を交互に出しますが、今、自分がどちらの足に重心がかかっているか意識して歩きます。右足に重心が乗っていれば右足に重心が乗っていると認識して、左足に重心が乗っているときは左足に重心が乗っていることに意識を向けて歩きます。足の裏と地面の接するところに意識を向けて歩いていると大地との一体感を得ることもあります。

    ⑤読経しながら歩く

    また、真言やひかりの輪の読経瞑想を行いながら歩くやり方もあります。歩くリズムと読経を唱えるリズムが合わさり、心が集中し落ち着いてきます。

    以上、歩行瞑想を行うにあたっての注意する点といくつかのやり方をご紹介しました。ぜひとも、試してみてください。




    さらに詳しく歩行瞑想について知りたい方は以下の動画、教本を参考にしてください。


    動画『心身の健康・心の安定に役立つ歩行瞑想』(2019年11月17日大阪 61min)

    教本『日常生活の中でのヨーガ行法や歩行瞑想』


     


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  • 2.瞑想とは何か?――その三つのタイプ

    1.瞑想とは何か?

     瞑想を専門的に定義するならば、瞑想とは、「心の安定と集中をもたらす修習(しゅじゅう)」ということができます。

     この修習とは、「繰り返し行うこと」を意味します。そして、心が安定して集中している状態を瞑想状態といいます。言い換えれば、思考や感情が静まりながら、ないしは、自分の意志のもとに思考や感情を制御しながら、ボーッとなどしておらずに、意識は鮮明であり、何かに集中している(何かに集中が可能な)状態です。

     瞑想は、漢訳の仏教専門用語では、「禅定(ぜんじょう)」といいます。または、「禅(ぜん)」や「定(じょう)」と呼ばれます。禅は、日本語として馴染みがある「座禅」の禅です。座禅とは、「座って行う瞑想」です。同様に、「立禅」、「歩行禅」もあり、それぞれ「立って行う瞑想」、「歩行しながら行う瞑想」を意味します。禅定は、禅と定の複合語で、おそらく中国で出来た言葉だと思われます。

     この禅と定のサンスクリット語の原語は、ディアーナ(静慮)とサマディ(三昧(さんまい))であり、これはヨーガでも説かれる言葉です。この二つには、それぞれの意味がありますが、それは宗派・経典によって異なる面もあるので、ここでは省略します。

    2.ひかりの輪の3つの瞑想の分類
     
     そして、ひかりの輪では、以下の通り、瞑想を3つのタイプに分類しています。

    ①身体的瞑想

     体の使い方と心の状態は深く関係しています。よって、体を整えることで、心を制御することができます。そこで、一定の特定の体の使い方によって心の安定と集中をもたらすものを身体的な瞑想と呼んでいます。

     そして、実は、ヨーガが説く、一定の姿勢(体位・ポーズ)、体操、呼吸法などは、この身体的な瞑想の一部です。巷では美容やダイエットのためのヨーガ体操がはやっていますが、ヨーガの本場のインドにおいては、ヨーガの体操や呼吸法は、健康を増進するとともに、心をコントロールすることが目的です。そもそもが、ヨーガとは、インド式の体操のことではなく、心のコントロールという意味です(より厳格に定義すると、ヨーガとは「心の働きを止滅すること」)。

     体の使い方と心の関係を研究する身体心理学の調査研究の結果として、体操によって体をほぐし、筋肉の緊張を解消して、血流などをよくすることで、精神的にもリラックスすることが確認されています。また、深い深呼吸(特に吐く息を長くした深呼吸)がリラクゼーションをもたらすことも確認されています。同様に、姿勢についても、うつむいた姿勢が、ネガティブな心の状態をもたらし、前を見ることが、ポジティブな心の状態をもたらすことも確認されています。姿勢・筋肉の状態・呼吸以外にも、表情・発声・歩行の仕方が心の状態と密接不可分であることが確認されています。

     ひかりの輪でも、この身体的な瞑想の中で、姿勢法(姿勢瞑想)・体操法(体操瞑想)・呼吸法(呼吸瞑想)に加えて、歩行瞑想を解説・実習しています。

    ②感覚的瞑想
     
     感覚的瞑想とは、見たり、聞いたり、自ら話して聞いたりして心が静まるものをいいます。例えば、見て心が静まるものとは、雄大な自然の中に身を置いてそれを見ることや、心が静まる仏像やその写真を見ることなどが含まれます。見たり、聞いたりすることで、心が静まるものを(聖なる)シンボルと表現することがあります。見て心が静まるものは、視覚的シンボル、聞いて心が静まるものは、聴覚的シンボルです。

     そして、ヨーガや仏教では、心を静めるために唱えるマントラ(真言)が昔から説かれてきました。このマントラも、聴覚的なシンボルの一つです。身体心理学では、特定の音の発音・発声が、心を安定させる、解放させることがわかっています。そして、古来のマントラは、そうした音を多く含むことが確認されています。

     また、仏教の法具には、それを聞くと心が落ち着く音を奏でるものがあります。仏教の法具のヒーリングサウンドです。様々なタイプの法具があり、これは「仏教法具によるサウンドヒーリング」のコーナーで紹介しています。同様に、瞑想音楽なども、この感覚的な瞑想の一部です。

     最後に、実際に外界に存在するものを見たり、聞いたりするだけでなく、心の中で、何かの視覚的なイメージを形成すること、すなわち、イメージング、ヴィジュアリゼーション、観想などと呼ばれるものです。密教の瞑想には、このタイプが多く含まれています。マントラ(真言)も、実際に声に出さずに、心の中で唱える場合があります。

    ③心理的瞑想

     これはもっぱら、精神的・心理的な瞑想です。仏陀の教えに基づいて、煩悩を静める効果を持つ、特定の(正しい)物の見方、考え方、心の働きを修習することなどが含まれます。後でご紹介するように、ひかりの輪では、初期仏教の最も基本的で主要な瞑想であり、過剰な自己愛・自我執着・物事へのとらわれを弱める、四念処(しねんじょ)や四法印(しほういん)といった瞑想を紹介しています。また、全ての生き物・存在を愛する(万物愛)瞑想として、これもまた初期仏教の時代から行われてきた四無量心(しむりょうしん)の瞑想や、ひかりの輪のオリジナルの万物愛の瞑想として、輪の読経瞑想と呼んでいる一連の瞑想があります。

     なお、この心理的な瞑想の中には、特定の思考や感情を修習するのではなく、ラージャヨーガなどで行われているような、各種の精神集中を中心とした瞑想も含まれます。

  • 1.瞑想の準備

    ここでは瞑想を行うための準備について説明します。

    1.部屋・環境を整える
      
    (1)部屋の換気をする
      理想は2カ所で換気し、空気が入る所と出る所を作ることです。

    (2)整理整頓をする
      綺麗に片付いた部屋は気持ちの良いものですが、部屋の状態に心の状態が現れるという心理学的な見解があります。気の流れを整える風(ふう)水(すい)学でも、換気と整理整頓は最も重要なものとされています。

    2.服装を整える

     体を締め付けない服装にします。ベルト・バンド・時計などは外します。特にベルトは外すことで、腹式呼吸が容易となります。服装は、伸び縮みする柔らかなものが理想です。寒くなければ、靴下なども脱いでおきます。

    3.姿勢を整える

    (1)座り方は安定したものにします。仏教・座禅・ヨーガの専門的な座法が理想ですが、安定すれば、正座・あぐら、さらには椅子に腰かけてもかまいません。

    (2)猫背を避け、背筋を伸ばし、腰を入れて、頭・首・背中・尾てい骨が、一直線になるようにします。椅子を使う場合は深く腰掛けます。すると、猫背の場合と異なり、首や肩に余計な負担がかからず、体重を背骨が支えることができ、首・肩・腕などの力が抜けます。なお、背筋を伸ばす際に、いったん体をゆっくり後ろに反らせて戻す方法があります。

    (3)首・肩・腕の筋肉をほぐします。猫背のために、普段は緊張しているからです。あわてずにゆっくりと首や肩を回します。首は、時計回りと反時計回りに交互に回します。肩も、前回し、後ろ回しを交互に行います。
     この際、回す前に息を吸い、回しながら息を吐くと、よりリラックスできます。また、肩の力を抜くために、いったん持ち上げてから落とす方法があります。肩から先の腕や手はぶらぶらさせて、力を抜きます。

    (4)上半身を左右にゆっくりとねじります。背筋は真直ぐなままに、右にねじり、元に戻し、次に左にねじり、元に戻します。その際、ねじる前に息を吸い、ねじりながら息を吐き、ねじり終わったら自然呼吸をしながら少しの間その姿勢を維持し、その後、息を吸いながら、上半身を元に戻します。
     
    (5)両方の手のひらを上に向けて両ひざの上にのせて、肩・腕・手の力を抜きます。その後、手はそのままでもいいですが、両手をお腹の前に持ってきて、手のひらを上に向けたまま、左手の上に右手をのせて、足の上に置くやり方もあります(仏教の座禅の手の組み方で「定印(じょういん)」といいます)。

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