聖地めぐり
ひかりの輪で行っている日本の聖地めぐりのご案内です。

ひかりの輪の聖地巡り

(6)虹に関する教え・思想

 「虹」は、天空に現れる最も美しい現象かもしれません。

そのため、虹は、古来からさまざまな民族の文化や宗教などにおいて、 非常に重要な意味をもってきました。

ここでは、その一部を紹介したいと思います。

◎虹=龍 /中国

まず、虹という漢字は、「虫」偏ですが、漢字を生んだ中国では、虹を龍、蛇と見なす文化があります。
古代中国では、蛇は、「虫」の仲間と考えられていたために、「虹」に「虫」偏が付くのだそうです。

虹のありようが、例えば、大地から天に立ち上る龍のように見えたのか、ないしは、空に横たわる龍のように見えたのでしょうか。古代中国では、虹は、虹(こう)と呼ばれ、空に横たわる龍の一種とされていたようです。

他にも、「虹」を示す漢字が数個あり、たいていは、「虫」が付いていて、虹は生き物だと見られていたのですね。
また、「龍宮城」と言うように、龍が水に関係し、虹も水に関係するところからの連想も推察されますね。

「水の神」という概念がありますが、水の神の具体的な象徴は、龍と虹とされています。
虹は雨と関係し、龍はその口から水を出し、それが雨になる。どちらも水に関係しています。

なお、「虹」の字は「工」の形が、天と地を結ぶ形なので、「天と地を結ぶへび」という意味もあるようです。
また、虹は、暗い色と明るい色が結合しているため、陰と陽の結合=調和の象徴ともいわているそうです。


◎龍神さま /日本

日本ではどうでしょうか。

中国で虹とされていた龍は、日本では、「龍神さま」として信仰されています。八大龍王神、九頭龍権現などの信仰をさまざまな場所で見かけました。

ひかりの輪で、奈良・天川へ聖地巡りに行ったときに、この信仰とシンクロしたかのように、空を龍のような形をした珍しい虹色の雲が流れていく現象が見られました。



しかも、その近くには、私たちがお参りした「龍泉寺」という龍神にまつわるお寺もあったのでした。


龍泉寺の「八大龍王」を祀る池

 会津へ行ったときは、高速道路を走っているときに、美しい虹があらわれ、私たちが走っているために、まるで虹も一緒に空をかける龍のように見えました。(右の写真)

なるほど、古代人もこういうの見て、生き物のように見えたのだろうな、と思いました。


それから、諏訪大社のご神体山・守矢山の登山前に、ちょうど諏訪大社・前宮を参拝した直後、虹を見たのですが、それも横に長くて、龍のようでした。その虹は珍しく、新聞にも取り上げられていました。




2005年4月25日 中日新聞

長野県の戸隠に行ったときに出た虹も、横に長くて、やはり、蛇や龍のように見えるものでした。

 

◎龍=蛇=ナーガ、インドラ神の弓 /インド

なお、龍と蛇は、非常に近いものがあり、インド文化などでは、龍と蛇は、「ナーガ」と呼ばれることがあります。それもあって、虹は、蛇と同じ虫偏なのでしょうか。
また、虹は、インドラ神が雷の矢を放つ弓であるともいわれています。



◎神の契約の印(ノアの契約) /ユダヤ・キリスト教文化圏

さて、ユダヤ・キリスト教文化では、聖書の創世記9章9節-17節において虹が出てきます。

虹は、神が、再びこの地に大洪水を起こして地を滅ぼさないことを含めた、契約の印として、ノアの洪水の後に、雲の中に立てられたものとされています。

創世記を見てみましょう。

「さらに神はいわれた。
「あなたたちならびにあなたたちと共にいる
すべての生き物と代々とこしえにわたしが立てた
契約のしるしはこれである。
すなわち、わたしは雲の中にわたしのを置く。
これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる」」
(創世記9章9-17)

 



これは、「ノアの契約」と呼ばれています。

こうして虹は、ユダヤ・キリスト教の世界観では、ノアの洪水で滅ぼされた後の人類、すなわち現在の人類と神との契約の印を示している、神聖なものだということになります。


◎虹は神聖な象徴 /仏教文化圏

また、仏教文化圏においても、虹を神聖な象徴とする文化があります。仏教では、釈迦が天上界から降りてきた際に、虹が関わっているという伝承があります。

そのためか、仏教国のブータンなどでは、虹と聖者を結びつけて、解釈すると聞いたことがあります。




◎虹の身体 /チベット

また、チベット仏教では、ゾクチェンという修行体系で、虹の身体と名付けられた瞑想体験があり、そういった意味で、悟り・解脱の体験と結びつけられています。
よく、チベットに由来する仏画などに、虹が描かれています。



また、少しインターネットで調べただけでも、そのほかにもたくさんの伝承があるようで、詳しく知りたいと思いました。


◎虹の女神、虹の橋 /ギリシャ神話、北欧神話


ギリシャには、イリスという虹の女神が登場します。その女神は、鮮やかな衣を着て、金の翼を持ち、神々の使いとして虹の橋を渡って天地を行き来するそうです。

北欧神話には、「虹の橋」が登場します。神々が地上から、北欧神話の王国であるアースガルドへとかけた、虹の橋のことを「ビフレスト」というそうです。


◎その他たくさんの伝承

また、少しインターネットで調べただけでも、そのほかにもたくさんの伝承があるようで、詳しく知りたいと思いました。

虹は大地に住む蛇であるとみなされているもの、神は虹を現して人と親交を結ぼうとするというもの、虹は神の顕現する場であるといもの、太陽を生み雨を降らす神の道だというもの、虹に触れると天に引き上げられるというもの、人類の先祖がやってきた道だというものなど、さまざまな伝承があるようです。



●虹の教え

  ひかりの輪の虹の体験を踏まえて、上祐代表は、「虹の色は七色ではなく無限である」「多様性の中の統一、平和の象徴としての虹」「一元思想の象徴としての虹」という話をしてきました。  



●修行者を救う虹


さて、以前にご紹介したように、上祐代表などひかりの輪のスタッフが、ひかりの輪の発足の前に、それ以前の思想から脱却していく過程で、さまざまな聖地における印象深い虹の体験がありました。

ここでは、もう一つ、これに関連した、興味深いエピソードをご紹介したいと思います。それは、上祐代表らが、オウム真理教の問題を分析し、総括する中で気づいたものです。

総括の作業の中で、私たちは、オウム真理教の問題点を総括した、さまざまな方々の著作を研究しました。その一つが、鎌田東二氏(京都造形芸術大学教授、京都大学教授)の著作『呪殺・魔境論』 (集英社)でした。

その中で鎌田氏が、若き日において、自分自身で修行の落とし穴である魔境と呼ばれる精神的な苦境を体験し、不眠状態が続いた際に、太陽の周りを囲む美しく印象深い虹を見ることで救われた、という体験談が紹介されていました。

鎌田氏の体験は、虹体験をきっかけとして、宗教的・霊的な修行における迷路・苦境から救われた、脱却できたという点において、上祐代表らの体験と通じる面があるとも感じられるものでした。

虹とは不思議な存在ですね。
聖書の虹、釈迦・仏教と虹、そして、現代の修行者たちを救う虹。

天空でもっとも美しい現象である虹は、同時に、宗教とも深く結びつき、人を救う存在として、古今東西親しまれてきたようです。(完)

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