第309回『日本の葬儀習慣と仏陀の本来の教え:真に有意義な葬儀とは』(2016年12月18日 東京 59min)
(2016年12月21日)
1)葬儀とその目的・形式
1.葬儀は死者を弔う儀式。
2.日本の葬儀はほとんど仏式:江戸時代に檀家制度の影響も
3.葬儀は故人と残された人の双方のためのもの。
残された人の気持ちの整理に加え、本来は仏道修行のため。
2)通夜の起源、現在の習慣・形骸化、意味合い
1.起源:仏陀の死の際に仏弟子が集まり、仏陀に聞いた話を互いに語り合ったこと。
2.現在:夜通し、線香・蝋燭を絶やさず、故人の冥福を祈ること。
一部の宗派は、故人を釈迦と見立て、遺族を仏弟子と見て、僧侶が読経して法を聞かせることを通夜の目的としたが形骸化。
3.残された者の仏道修行のための通夜・葬儀の意味を考える
1.生前の故人を偲び、改めて故人に感謝する
個人の良い点から学び見習う(悪い点も反面教師と見て学ぶ)
→死後、人は皆仏となる日本の信仰を活用し、
死者を教師(仏)として学ぶのはどうか。万人が仏。
2.故人の死を見て、人生の無常を改めて意識し、我欲を薄める
3.個人の知人が集い、互いに対して善行をなす
3)火葬の起源・他の宗教の葬儀
1.起源:釈迦が荼毘に付された=火葬されたこと。
死者の意識が肉体に執着しないようにする仏教の教義に合致
2.他の宗教と火葬
死者の肉体の復活の信仰があるキリスト・イスラム教は火葬を忌み、
土葬する傾向。神道も火葬は忌む傾向(明治時代一時火葬を禁止)
ただしキリスト教国の欧米では火葬も半数近くあり、増えている
火葬は、現代的には、疫病の予防・土地利用政策上、優れている
4)戒名:日本の習慣と本来の戒名の意味
日本の葬式は死者に受戒させ、戒名を与え、成仏させる重要な目的
しかし、本来は生存中に受戒し、戒名をもらい、仏道修行を深める
法外な戒名料を取ることが、免罪符と同じように批判される面も
5)お墓の起源・日本の習慣
釈迦の死後、遺言で、遺骨を収めた仏塔を作り、供物を捧げた
しかし、当時のインドは、お墓は聖者のみ
日本は、死者は皆仏と見て、墓を用意して墓参りをし、先祖を拝む文化
→日本古来の祖霊信仰の影響。
6)法事・法要
1.追善供養:
回向:遺族が善行・功徳を積み、故人の良い来世のため回し向けること
法事の時期:初七日・四十九日・一周忌・三回忌~三十三回忌など
四十九日=中有・中陰=死から再生までの中間状態
2.仏壇・位牌・日々の給仕
位牌は故人と見なされるが、仏教ではなく儒教の習慣に由来する
3.お墓参り
お盆の先祖供養・お彼岸のお墓参りは日本独自の習慣
日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した儀礼