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上祐史浩・一般向け講義【2017】

第331回『苦楽の本質は劣等感と優越感:慈悲は苦しみを喜びに変える』(2017年6月11日大阪 66min)
(2017年6月12日)

1)苦しみの原因は無智に基づく間違った執着

仏教が説く苦しみの原因は、無智によって、間違ったものにとらわれること=煩悩です。
例えば、苦しみとなるものを喜びばかりだと錯覚し、苦を楽、無常なものを恒常的なもの、本当には、自分・自分の物ではないものを自分・自分の物だと錯覚します(顛倒の教え)。
特に、私・私の物への過剰なとらわれが苦しみの最大の原因です(自我執着・我執)。


2)我執の延長上に、優越感へのとらわれ・劣等感への嫌悪

人間、特に現代人の感じる喜びと苦しみの本質には優越感と劣等感が深く関係しています。

お金持ちの喜びとは、お金自体よりも、他よりもお金を持つ優越感に本質があります。金持ちか否かは、額で決まらず、友人・知人ないし少し前の自分との比較で決まります。

お金は実際は紙束、家や車も大自然に比較すれば卑小、ダイヤモンドも炭素の化合物、高級料理も空腹の時の粗食のおいしさには適いませんが、他よりも持っているという優越感が、それらを得ることを喜びだと感じさせています。言い換えれば、ほとんど飢えることはない日本社会で、苦しみの本質は、他と比較による劣等感であり、毎年経済苦で自殺する数千人も、日本で最も貧しい人達ではありません。


3)苦の解消の道:苦しみ=劣等感が、慈悲=心の宝に昇華される

苦の原因である自我執着を弱める道は、まず、初期仏教が説いた四念処の瞑想がある。
自分の心・体・自分の物にとらわれない瞑想です。その土台として、八正道・三学が説く日常行動の規律(戒律)などの実践があります。

次に、大乗仏教では、大慈悲・四無量心を重視する。これは、他を幸福にする実践に集中することで、結果として自己に対する過剰な執着を解消するものです。この奥儀は、真の幸福は慈悲であると気づいた心には、自分の苦しみは、同じように苦しむ無数の他者の苦しみを理解する縁・絆であり、慈悲の深い広い心を培う力・財産となることです。
慈悲の智恵により、劣等感の苦しみが、慈悲の源=喜びに昇華されるのです。

 

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