第308回『仏教思想の中核「四無量心」の総合解説パート2』(2016年12月11日 福岡 91min)
(2016年12月13日)
仏教の思想の中核であり、仏陀の心の在り方とされる「四無量心」の総合的な解説の第二回。要点は以下の通り。また、各種の質疑応答も。
1)四無量心の基本:無量と慈・悲・喜・捨
1.無量とは計り知れないとの意。
全ての生き物を仏陀の境地に導く、無限に広く深いこころ
2.慈:マイトリー:他の幸福を願い、楽を与える
3.悲:カルナ:他の苦しみを悲しみ、苦しみを取り除く
4.喜:ムディタ:他の幸福を喜ぶ。他の善行を称賛する
5.捨:ウペクシャ:平静な心、平等心(好き嫌い・差別のない)
他の悪行による自己の苦に無頓着・怒らない
2)四無量心と煩悩:慈悲は煩悩を和らげる
慈は貪り・独占を和らげ、悲は冷淡を和らげる。また、喜は妬み、捨は怒り・無智を和らげる
3)四無量心と智慧:自他の幸福は一つ
智慧:縁起の法を悟った状態(万物は相互依存との悟り)
→自と他、自と他の幸福は繋がっているという悟り
智慧と四無量心は一体、智慧が四無量心を支える
→自と他の幸不幸・善悪行は繋がっているとの悟り
4)四無量心と菩薩道:感謝が土台
衆生済度・利他行を行う菩薩の万物への愛=四無量心は、万物を恩人と見て、その恩に報いる動機でなされる
5)四無量心の恩恵
四無量心は、心の解放・幸福、体の健康・長寿や霊的歓喜、良好な人間関係、正しい判断を与える
6)四無量心と六つの完成
四無量心を培う道程:大乗仏教の説く「六つの完成」の修行