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上祐史浩・一般向け講義【2018】

第362回『ポスト平成=長寿社会の心理的な問題と悟りの可能性』(2018年4月1日東京 53min)
(2018年4月 6日)

1.ポスト平成の時代の特徴の一つ:長寿社会

  ポスト平成の時代はどんな時代か。平成はソ連・共産主義の崩壊で、グローバル資本主義の時代であり、抑圧されていた宗教、しかも原理主義が復活して強まった(イスラム過激派・キリスト教保守主義・オウムなど)。しかし、今現在米国中心に保護主義が到来し、オウム死刑囚の執行で一つの区切りに。

  その後のポスト平成の政治・経済・社会と、思想・宗教・精神世界はどうなるかを考えるとき、重要な要素が、確実にやってくる高齢化社会=長寿社会である。


2.暴走老人か、悟りの境地か:今高齢者の二極化という重要な事実が!

  最近、キレる老人、暴走する老人、そして高齢者犯罪の増大など、高齢者の心理的な問題が目立ってきた。その一方で、一部の高齢者は、まさに仏教の悟りの境地に通じる「老年的超越」を達成するという研究報告も現れた。人生の終盤に、地獄を見るか、天国にたたずむか、「高齢者の二極化」という重大な事実を検討する。若い時、中年期の人生をどう送るかが、人生の終盤に決定的な違いをもたらす。


◆以下は、この講義のレジメです。

1.老いの科学

釈迦は、生・老・病・死の4つの苦しみと、その超越を説いた(人間の避けられない苦)。
これまでの講義では、精神的な病気、死・死生学・死後の転生に関する科学的な研究を扱った。
今回は老い。高齢化社会に必要な心の問題の理解、心理学・脳科学・社会学の知見を学ぶ。

2.高齢期の心理を学ぶ意味・メリット

(1)今後は高齢者中心の社会になる
(2)自分達も必ず高齢者になる
(3)高齢期の問題と可能性は、若者にも生じ得る

3.老人の暴走:キレる老人の問題

理不尽な行動。駅員への横暴、病院での横暴、店舗でのクレーム、高齢者の犯罪の増加など。

4.老人の暴走の原因

(1)脳の前頭葉の萎縮による機能低下。

(2)喪失体験:今まであったものを失うことによる落ち込み・失意。
定年退職、肉体の衰え、配偶者の死、友人知人の死などである。

(3)心理的な側面:固定的な物の見方、忍耐力、精神的な飢餓感など。

5.暴走老人にならないための予防策

(1)前頭葉を鍛える

①家事を行う。
②やることリストを作って実行。
③運動、血流の改善、姿勢の改善。
④座禅やマインドフルネス瞑想を行う。
⑤新しいことを始める。

(2)喪失体験に対応する智恵

①目標の調整。
②今ある能力を最も効率よく使う。
③他の補助も借りる。

(3)極端で否定的な物の見方を和らげる認知療法

詳しくは、2014年GWセミナー心理学講義「認知療法、マインドフルネス認知療法」参照。

(4)苦楽表裏の仏教思想

6.老人性うつの問題

(1)うつ患者の4割が60歳以上
(2)老人性うつの症状
(3)予防
①高齢化によるセロトニンの不足:日光に当たる機会を増やす
②運動:特に一定リズムでの運動。ウォーキングなど
③認知の歪み(偏ったものの捉え方)を変える=認知療法
④その他、前頭葉を活性化させる方法と共通点が多い

7.認知症

(1)全国で250万人
(2)症状
(3)予防
①有酸素運動
②生活習慣の改善
③脳を働かせる作業

8.老年的超越

80歳を越えると、特に85歳を越えると「老年的超越」といわれる状態に達する高齢者がいる。
スウェーデンの社会学者のトルンスタムが提唱。高齢者の2割ほどということだ。

①自己概念の変容:自己への執着が低下し、利他主義的、万物を肯定する考え方に変化。
②社会と個人の関係の変容:表面的な人間関係・社会的地位にこだわらず、一人の時間を大切にする。
③宇宙意識の獲得。

 

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